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kei side
さっき薮が誰かに呼ばれて部屋を出ていった
ふら、と部屋の中を歩き回る
と今まで気づかなかった写真を見つけた
そっと手に取る
昔の薮かな、あとこれは光、
と隣にもう1人男の人
誰だろ…
と薮が部屋に戻ってくる音
慌てて写真を戻した
『薮どうしたの、』
「あー、なんかこの部屋ペットダメなんだとさ」
『ねぇ待ってその先言わないで、』
嫌な思い出が頭をよぎる
ナンカコノマンションペットダメナンダッテ、
記憶の中の同じ台詞
続きが頭の中で作り上げられる
呼吸ができない
その場にへたりこんだ
薮の手が俺の背中をさする
「けい聞こえる?」
『はぁっ…薮っ…』
「けいゆーっくり呼吸しようか、はい吸って、」
言われた通り呼吸をする
5分もすると息はできるようになった
でも涙が止まらない
「けい?落ち着いた?」
『やだっ…薮っ…』
「けい、よく聞いて、」
顔が向かい合う
あぁ、薮は唯一の俺を大切にしてくれた人なのに、
また捨てられちゃうのかな、
涙が1滴零れた
薮が口を開いた
「引っ越そうか、」
『…ふぇ?』
「大家さんには新しい家探すまで許可を得た」
『…やぶ、』
「新しい所で一緒に過ごそ?」
『やぶっ…!』
思い切り薮に抱きついた
薮はしっかりと受け止めてくれた
大きい手が俺の頭を撫でる
薮の腕の中で俺は少し泣いた
…やっぱり薮はいい人以上のいい人だ
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作者名:梨衣亜 | 作成日時:2020年3月19日 23時