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「僕は君を助けたいんだ、あの男から。だから組織を裏切ってまであいつの素性を調べあげた。そしたら……まさかNOCだったとは」
鍵を開けるよう指示され仕方なくそれに従った。玄関に突き飛ばされ、強引な仕草で顎を掴み取られる。何やらわけの分からないことを言っているようだが。
「この事実を売れば、確実にあの男は消される。君は殺された姉の仇を討てる。裏切り者を炙りだした僕の立場は救われ、躊躇うことなく君を手に入れられる…
まさに完璧なシナリオだろう?」
NOCとは恐らくNonOfficialCoverの略称。工作員や諜報員を表す単語だ。つまり降谷の潜入捜査先に、降谷零の情報を売るつもりなのだろう。
頭がおかしいとしか思えなかった。
「……あんたの物になるわけないでしょ」
「僕は君を助けたヒーローなんだ。それにこの先君は何不自由ない生活を送れるよ。欲しいものなら何だって僕があげよう」
歪めた顔を隠さず唸ってみても、男は恍惚とした表情をピクリとも崩さない。それどころか「一目惚れなんだ」と聞いてもない訴えを口にする始末だ。
「僕は昔からあの男が嫌いでね。少し前に君がバーボンと歩いている所を見て、僕は君に釘付けになった。分厚い仮面を被った美しい女性だと…」
「………」
「可哀想に。でももう寂しい思いはさせないよ、」
バーボンというのは降谷のことだろうか。いや、今はそんなことどうだっていい。一刻も早く顔に触れている手を退かしたかった。
「ーーーーーーー悪いけど、あの男を殺すのは私なの」
「………は?」
「だから殺させない。絶対に」
『……分かった。すぐ行くから、』
どうしようもなく安心した。焦っていたけど、酷く優しいその声色に。彼がいてよかったって心の底から思えたほど。
「降谷零を殺すのは私だけ。他の誰にも渡さない。
……そもそも、貴方みたいな執拗い
陰湿なストーカーが、あの人を殺せるわけない」
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モミジ(プロフ) - この作品、最高です!この作品を読んで感動して泣きました。新作も読んで見ます!これからも応援しています! (2019年5月5日 16時) (レス) id: d4cb7d7d86 (このIDを非表示/違反報告)
ringo6349(プロフ) - こんばんは!完結おめでとうございます!ずっと私の中で物語を完結させたくなくて読めなかったのですが読めてよかったです。今回もとても素敵で好きなお話でした。本当にてなさんの書かれる物語が大好きです!忙しいので時間はかかるかもしれませんが新作も絶対読みます (2019年4月26日 22時) (レス) id: 66d3f8785b (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - 華さん» 嬉しい限りでございます…複雑な心境を書くのがすごく難しかったです。コメントありがとうございますー!! (2019年3月29日 14時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - すごいです…。私、占ツクの小説で泣いたの、初めてです。夢主の悲しみとか嫉妬心とかが分かりやすくて、一気に読んでしまいました。完結おめでとうございます!! (2019年3月28日 21時) (レス) id: 1c08efcab1 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - 蓮-Ren-さん» ありがとうございます!そう言っていただけると凄く嬉しいです…(´∇`) (2019年3月27日 13時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:てな | 作成日時:2019年3月21日 16時