【降谷零】死ぬほど貴方が嫌いです、だから結婚してください【安室透】

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｢いってくる｣



最近、夫が"いってきます"を言うようになった。




(外食の回数は減らないけど…)




内心では口を尖らせつつも｢いってらっしゃい｣と降谷を見送る。昨夜は夢に魘されたようで、随分顔色が悪かった。




『っ、クソ………、』




たまたまトイレに起きてきただけだった。リビングから彼の声が微かに漏れていて、興味本位で部屋を覗いてみたのだ。

苛立った降谷が机に突っ伏している光景は珍しく、寝惚けながらも彼に話しかけたのをぼんやり覚えている。


ｰｰｰｰｰｰｰｰ…まあいい。とにかく今日は遅くなるみたいだけど帰宅はするようだ。久しぶりに夕食を二人分作らないといけない。





｢…………｣




ふと気付いた。……彼と暮らし始めてから、私は彼のことばかりを考えている。

結婚する前はお姉ちゃんのことで頭の中が占領されていたから、なんとなく微妙な気持ちだ。




(……出かけよう)




｢A、｣と優しく微笑んでくれる姉はもういない。気分転換のためにも今日は出かけることに決めた。




｢『ショッピングモールに、行ってきます』……｣



降谷にはなるべく毎日スマホでメッセージを送るようにしている。少しでも彼との親交を深められれば…と思い、送り始めたのだ。

結果は見事全て既読スルーだが。結果は見事全て既読スルーだが！！




｢まぁ、あのデリカシーゼロ野郎が返信するわけないか…｣




一刻も早く抹殺したいものである。ぶっきらぼうな独り言を口にしながら乱雑にクローゼットを開ける。

左にあるのが降谷A用の服、右にあるのが浅見A用の服だ。本来の私は明るい色よりも影のある色合いの方が好きだった。ので、今日は黒のワンピースで行こう。





｢んーー……よし｣




悩んだ結果サングラスを手に取った。妹属性の私は子供の時から大人の女性に憧れていたのだ。そして今も、である。


自分らしいファッションを姿見で一望して
それからルンルン気分で家を出た。




…………まさか、出掛けた先に、憎き夫がいるとは知らずに。

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