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…
you side
｢驚いたわ。まさか貴方が結婚してたなんて｣
誰もいない理科室で日の落ちていく空を
茫然と眺めていたら、ガラリとドアが開いた。
当たり前のように隣に並んできた少女は
面白そうに指輪が嵌められた手を一瞥してから、
夕焼け空に視線を移した。
｢江戸川君から聞いたのね｣
少女、灰原哀は彼女の姉を彷彿とさせる
柔らかな微笑を含んだ。どうやら今は宮野志保らしい。
彼女の母宮野エレーナは、幼い頃理科の研究が
好きだった私によく実験室を貸してくれていた。
志保とは年は離れていたが、お互い
口数の少ない友達として接していたのである。
だから教室で彼女を目にした時は随分驚いた。
記憶上の彼女は18歳。
隣にいるのはまだ小学一年生の子供だ。
なんでも犯罪組織から脱するため
自ら開発した薬を飲んだ結果、
幼児化してしまったらしい。
非科学的な話だが幼少期の彼女
そっくりなのだから、認めざるを得ない。
｢…ねえ、どうして離婚したの？｣
そんな彼女が核心に迫る質問を何気なくしてきた。
誰だって離婚した原因は気になるだろう、が
今の私は話す気分にはなれなかった。
.
｢………彼を、嫌いになったから｣
少し目を見開いた志保の視線から、
逃げるように準備室へ用具を取りに行った。
あの人とは終わったはずなのに
未だ私の中に居座り続ける根強い男は
どうせそのうち私なんて忘れて、
他の人を愛するのだろう。
跡も残ってない火傷をした右手を
労るように小さく撫でる。
(……馬鹿ね)
そんな私の背中を見ていた志保は
心の中でそう呟いて教室から出ていった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
『今日は一日中雨が降る予報となっております。
折りたたみ傘やかっぱなどを忘れずに！』
久しぶりの休日は朝から晩まで
どしゃ降りの雨が降るようだ。
薄着でベッドにいたせいか少し肌寒い。
｢…っくしゅ……はぁ｣
薄暗い部屋で一人グズグズと出かける支度をする。
生憎の雨だが、今日は午後から美容室に予約を
入れていたので出かけなければならない。
(寒い……)
雨が降りしきる外は予想していた三倍寒い。
数分迷った結果捨てようか迷っていた
チェックのマフラーを首に巻いた。
ほんの微かに、あの人の匂いがまだ残っていた。
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てな(プロフ) - まゆさん» わーありがとうございます！気づくの遅くなってすみません…！感動していただき嬉しみです(´∇｀) (2019年3月10日 22時) (
レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 完結おめでとうございます^_^面白かったです^_^最後は、すごく感動しました！これからも、頑張って下さい^_^ (2019年3月7日 14時) (レス) id: 406c27ad01 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - かずささん» ありがとうございます！結構端折ってた部分もあったので過去エピソードとか結婚後のお話を時間があったら書いてみたい！！と思ってます(゜▽゜) (2019年2月1日 23時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - れいさん» ぴえありがとうございます〜！50話を超えてしまったので気が向いたら続編を作ってみたいなとか思っております… (2019年2月1日 23時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
かずさ(プロフ) - 私も結婚後の生活の話が読みたいです！できるならお願します！ (2019年2月1日 22時) (レス) id: 189adfe0dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：てな
| 作成日時：2019年1月20日 0時
