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第六話 ページ6




furuya side





「………、…ん"、」





眩い照明が薄く開いた目に入った。
居心地の悪さに寝返りを打てば
ぱさり、と頬に何かが当たった。






「…………、おはよう安室くん」







それを掴んで、さらさらとした感触に
髪だと気付いた時、煙草の煙を吹かした赤井が
ベランダからコチラを伺っていた。

柔らかな弾力のある枕かと思えば、色白な太ももで
見上げてみれば熟睡しているAの顔が見えた。







「Aが風見くんとやらに
言われて持ち帰ってきたそうだ。

俺が帰ってきた時はまだ起きていたんだが、
……寝たようだな」






ぴしゃ、と窓を閉めた赤井が
煙草を灰皿に押し潰す。

玄関から一番近いリビングで、
尚且つ硬いソファの枕で
俺を寝させないようにした結果がコレなのだろう。




彼女の膝枕から起き上がり、

がくんと下を向いた頭を引き寄せて
肩に置かせてやれば
少し身じろいだ後に、
やがて大人しくまた眠り始めた。









「___…君の事を、守りたいと思ったらしい」









向かいのソファに座った赤井が
唐突に呟いたその言葉に

「僕は守られたいとこの女に
願った覚えはありません」と吐き捨てれば、
彼が困ったように苦笑した。









「初めて心の底から守りたいと思った、
そう言っていたよ。」





「………」









隣で眠る彼女は、あの頃よりも髪が伸びた。

そんなAを見る赤井の顔は緩みっぱなしで、
アレがシルバーブレッドと恐れられた男なのか…?
と拍子抜けしてしまった。


と、そんな赤井が俺を見据えた後
低いトーンで呟いた。








「……降谷くん、君には
話しておこうと思っている。



___この子が詐欺師になった理由を、だ」






「…………、」









ずっと引っかかっていた彼女のこと。









「君ならもう、気付いているだろう?

Aが騙した人間は全員、
___逮捕されるべき犯罪者なんだということを」









彼女のターゲットは、いつだって犯罪者だった。



彼女は悪人しか騙さなかったのだ。

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休校 - 半端じゃなく、面白かったです!笑 ありがとうございました! (2020年6月21日 17時) (レス) id: e4ab2b5df5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱる(プロフ) - こんな素晴らしい作品を作ってくださって感謝しかないです…!ストーリー構成が完璧で、赤井さんのシスコン具合も最高だし、なにより、主人公のキャラが好きです…!!!大好きです!ほんとにありがとうございます!! (2019年12月18日 20時) (レス) id: 7131cab108 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - 四皇子さん» ありがたきお言葉…大感謝感激祭です… (2019年2月4日 12時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - たんぽぽ珈琲さん» わー嬉しいです!!気に入っていた作品なのでありがたいです〜(*゚▽゚) (2019年2月4日 12時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
四皇子 - 500評価から501評価にしてしまった、罪悪感、、 (2019年1月31日 16時) (レス) id: 3e09273f36 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てな | 作成日時:2018年7月8日 14時

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