【名探偵コナン】プリンスはマドンナが好き【降谷零】

番外編… ページ48

…

Furuya side




「………死ぬ…」


公安が追っていたグループ共が無事尻尾を出した。

故に、愛しの愛しの我が妻が待っている
自宅に帰るのは約一週間ぶりである。


(疲れた、取り敢えず今はアイツに会いたい、
いや足りない、早く抱き締めて
あわよくば寝室に運びたい)


ぶつぶつと呪詛を唱えるように震える手で
鍵を取り出してガチャリとドアを開けてみるも、
リビング寝室、何処も電気がついていない。

まぁ、深夜2時半にあの女が
いつまでも帰ってこない俺を心配し
ベッドに入らずソファですやすやと涙を流しながら
寝ている……なんて現象はありえないであろう。




(…………寝よう…)



張り込んでいた一週間、
その睡眠時間の合計は15時間ほど。

一週間は168時間であるというのに、おかしいな。



「体がベタつく…さっさとシャワーだけ浴びて…
そして限界だったらバスタブで寝よう……」


寝られるならば場所は問わない。
一刻も早く安らかに眠りたかった。

最早耳鳴りさえ聞こえてきた。勿論瞼が重すぎて
視界なんぞ既にぼやけ始めている。


俺も歳だな、とタンスから
バスタオルやら下着やらを
ぽいぽいと取り出して、自身の身につけてる
堅苦しいスーツもすべて取り払った。

いつも裸同然の格好で寝るために
簡易的な準備だけでいいのだ。

Aには当然「……通報します」と
白い目を向けられたが。


と、ボキボキと鳴る肩を回しながら
浴室の引き戸を勢いよく開けた。



「………、……」
「……………」


ここでようやく、シャワーの音が耳に入ってきた。
遅れるように視界がクリアになっていき、
しぱしぱとする瞬きを繰り返した。



「………ふ、……降谷…？」



…ああ、お前か。と何処か冷静に
目の前で間抜け面を晒す女を眺めた。

恐らく顔が赤いのは
湯にあたったせいだけではないのだろう。

呆然と自分を見上げる全裸のAに、
ごく自然とその言葉が漏れた。




「……ただいま」



「〜〜っ…！！」




ばかっっっふるやぁ！！！！！と
お約束通りにタライが飛んでくると思いきや
シャワーヘッドでぶん殴られた。

一週間分のストレスは
ラッキーなスケベにより飛んだ気がする。

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