【名探偵コナン】プリンスはマドンナが好き【降谷零】

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you side



降谷は嫌い。


けれど降谷という男は
何処までも私を守るために生きていたのだ。



幼稚園で私の陰口を言う女子達を
先生に密告していたのも降谷だったし、

小学校中学校高校でタチの悪い告白をしてきた
男から守ってくれたのも降谷だった。


景光くんの死を隠したのだって、
私が悲しむと思ったから降谷がそう決断したのだ。





(……本当に、気味が悪い。
あんなのの何処が王子様なんだろう)





最低だ。私は守られるだけの
プリンセスなんて死んでもゴメンなのだ。





「＿＿＿いい事を教えてやろう」




一緒に彼を迎えに行く途中で、な。

そう笑った糸目の男はやっばり
違和感のかたまりでしかなかった。




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furuya side




「………、…げほっ、……！…」



もう拘束されて随分と経った。

男は下品な笑みを浮かべながら
公安に俺と引き換えにノックリストを渡すよう
脅迫メールを送っていたが、返事もなく

あれから音沙汰ないようだ。


数回殴られて口の端が切れてしまった、
鳩尾もズキズキと鋭い痛みが走っているが
骨はいってないだろう。多分。


幸い目隠しをされずに
柱に縛り付けられたおかげで、恐らくここは
使われていない廃ビルの中なのだと目星がついた。

取引では是が非でも一人は必ず
公安と接触しなければならないから、
ここの地図もメールに記載したはずだ。




(……面倒だな、)




見たところ外国人の男数人は
鉄パイプやら銃やらを所持しており、
当の主犯格は余裕綽々と
スマートフォンを弄っている。

アイツはいけそうだが、なにしろ
周りの部下共が厄介すぎる。




(………、20時1分……)




去年の今頃では風見達が
クラッカーをパンパン鳴らし笑顔で
「おめでとうございます！！」なんて
祝福してくれていたのに、

今年はなんともダーティな方々と一緒だ。

落差が辛すぎる。




「降谷零を切り捨ててもいいのかよ…、クソ」




イラついたように貧乏揺すりをする
彼を睨んでいれば、「なんだその目は」と
言ってまた殴られた。威力はそうでもないのだが。





そんな最中、まさに天使の声が
ドアの向こうから聞こえてきたのだ。





「＿＿＿こんばんは。ピザーラ銀座店です」





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