【名探偵コナン】プリンスはマドンナが好き【降谷零】

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…



「………、本当ですか」



とにかく時間が無い。

様々な作戦を練る最中、熱中しすぎた俺達は
背後で目を見開く彼女が
ポツリとその言葉を呟くまで全く気付かなかった。

ば、と風見さんが勢い良く振り向き
戦闘態勢を取るも、Aさんの顔を見た瞬間に
「あ、…」と彼女が誰なのかを理解したようだ。



「…み、三上刑事…」


「降谷、が、捕まってるんですか…？」


「A、さん…」



恐らくメールの内容も、地図の場所も
小声で話していたつもりだったが
全て聞こえていたのだろう。

彼女の零す質問は酷く不安げに震えていて
まるで、何かに怯えているように。




(……嫌いだったんじゃ、なかったのか？)




確か、Aさんは安室さんを
毛嫌いしていたはずだ。

それも特にここ最近なんて安室さんを
その目に入れるだけで顔を歪めていたくらいに。




「＿＿＿私も行きます」


「っ、え…？」




刑事ですから、と断言してみせたAに
風見さんが「駄目だ、！！」とストップをかけた。

その形相は信頼した上司が消えたせいで
酷く不安定なものだった。




「……降谷さんはたとえどんなに
自分が危険にさらされようが、貴方だけは
巻き込みたくないと前に言っていました。

貴方なら、その意味を分かるでしょう………？」

「降谷さんは自分よりも貴方を
優先していきているんです。だから……」





「頼んでません」





風見さんの声色は苦しげに揺れている。

それをスパ、と無表情で切ったAさんに
その場にいた男三人が硬直した。

そんな事は知らずとAさんは
拳銃の確認をしていたり身につけていた
赤いマフラーを鞄にしまったりと

着々と準備を進めていた。




「っ、！…降谷さんのことを何だと…！！」


「私は何も知らなくていいってこと？
何にも知らされないまま、
あの人に守られてばかりでいろってこと？」




馬鹿にしないで下さい、と彼女は
伏せていた睫毛をゆっくりと上げた。




「もう、嫌なんです」




仲間はずれは、と何処か泣きそうに
風見さんに笑いかけて彼女はそう呟いた。




「………、…本当に、言っていた通りだな」




その場にいた、赤井さんだけが
彼女のそんな姿を見て楽しげに笑った。

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