【名探偵コナン】プリンスはマドンナが好き【降谷零】

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…

you side




「………、ふぁ……」


「こら、起きなさい」


ばちこーん！！と志保ちゃんの手刀により
意識が覚醒した。なんて野蛮な起こし方なんだ。

隣のソファーで眠る阿笠博士まで
「ふぉっ」と間抜けな声を漏らしたが
むにゃむにゃと二度寝を決め込みやがった。

くそ二度寝しやがってこの。





「……だって、……もう……眠い…」


「貴方ね、もう2日目の深夜よ？
頑張ってやらないと…あと数時間で
その知り合いの誕生日なんだから」


「くそ……、あと少し生まれるの遅ければ…」





何あとちょっとで誕生してんだよ降谷。

濃いクマを作ってまで
マフラー編み編みする私のためにも空気読めよ。




「でも貴方、なかなかいい感じよ。
目立ったミスも見えないし……」


「当たり前じゃない。
やり方さえ分かれば出来るんだよ」




そう。やり方さえ丁寧に
教えられつつ覚えられれば。そう。

今現在私の手の中にある真っ白なマフラーは
触り心地が実によろしい。
アイツに渡すなんて勿体無いぐらいに。実に。



「……、…あ〜……渡したくない…」


「変なこと言ってないで、手を動かしなさい」



出来れば顔も合わせず
マフラーを投げつけて帰りたいのだが、
それはさすがに人間としてないと思う。

さすがに私でもないと思うのだ。




「………、…返事、まだ来ないの？」


「………」




無理矢理交換された連絡先に
「会いたい」と一言だけのメールを
送り付けてやったのだが、
一向に返事が来ない。メールを送ったのは昨日。

警視庁のマドンナである私からの、
私からのメールに返事が来ないのだ。

ならば、と電話も試してみた。

……けれど。






「……、…連絡が、……取れないの」




マフラーをせっせと編みながらそう呟いた私に、
志保ちゃんが何処か意味ありげな表情を向ける。





「……忙しいだけだよ。きっと」






＿＿＿思えば


景光くんの時だって、私はそう思っていた。






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