ハイスペックはお断り２【名探偵コナン】

89 ページ42

.


ピッ ピッ ピッ ピッ


規則的な機械音と呼吸をする音だけが響く病室
私は毎日ここへ通っている
彼の手を握ることしか出来ないけど






『零。赤井がアメリカに帰ったよ。幸せになれって言ってくれたよ？』



『零。聞こえてる？私一人で話すから聞いてて』



私は自分より頭がいい人が嫌いなの
頭でっかちで自分の出世のことしか考えてないから

それから料理が上手い人も嫌い
感想を求めてくるでしょ？
私味が分からないからいつも怒られるの

それから顔がいい男
世界中の女は自分のものとでも思ってるのかってくらい自信家
性格が悪いのよ





『でもね私の好きな人は私の嫌いなタイプなの』


私より頭がいい
なんでも私より先に答えちゃうし
私の考えを当てられる

料理が上手
味を感じたことない私が美味しいと思った料理を作ったのは彼が始めて

それから顔がいいの
たまに見せる子犬みたいな顔に私弱いの



『でもその人は顔がいいのを理解してるから厄介なの。私嫉妬深いのよ』





『ねぇ、零』


両手で彼の手を包む
そして祈るように額につけた



『答えはYESよ。あなた以外と幸せになるなんて出来ないもの』


愛してるわ



「俺も…あい…してる」


はっきり聞こえた零の声
顔を上げるとずっと瞑ったままだった零の大きな瞳が開いていた



『れ…い…』


「しあわせに…してやる」


『零！』


私は零に抱きついた
今まで我慢していた涙が溢れ出して止まらなかった







.

90→←88

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す