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ガサッと音がして、遠くの方で木が揺れた。
さっきめぐみの鵺が見えたから、きっと京都校の魔女さんみたいな人を落としたんだろう。
さっき別れたパンダとのばらはそっちへ向かったのかな。
｢ツナマヨ｣
｢うん。きっと、大丈夫…｣
京都校の人たちがどれだけ強いか分からないけれど、私たちだって頑張ってきた。
手も足も出ない、ということはない…と思う。
ちょいちょいと服を軽く引っ張られて、どうしたのかと振り返ると、｢すじこ｣と言いながら、とげが私の右手を握った。
大丈夫、と安心させるように2回ぎゅっとして、とげは歩き出した。
うん、みんななら大丈夫。
そうもう1回心に言い聞かせてとげと一緒に歩き出した。
それでも時折聞こえる大きな音には不安になってしまうけれど。
とげと一緒に歩いていく。
四級呪霊といえど、やっぱり移動はしているみたいでなかなか見つけられない。
｢いない、ね｣
｢しゃけ…｣
早く交流会を終わらせれば、ゆうじの暗殺だって終わる。勝てばまきの禅院家からも認めて貰えるかもしれない。負けられない、負けたくない。
あぁ、なんて、人間らしい感情。
こんな時に、私はまたひとつ自分を見つけてる。
建物を一通り見て回って、森に入る。
その時めぐみの玉犬が私たちの元へやってきた。
腕1本を咥えて。
｢とげ、これ…｣
｢しゃけ｣
玉犬が咥えていた腕にはスマホが握られている。
携帯の連絡先を見ると京都校の人たちの名前がいくつか登録されている。
つまり、このスマホは京都校の誰かのものなんだ。
その時パンダから連絡がメッセージが来ていたことに気づく。
メッセージの旨は、このスマホはパンダが戦ったメカ丸のもので、誰でもいいから電話をかけて、とげの呪言で何とかしてくれとのことだった。
のりとしとあおいは電話でないだろうし、魔女さんとまいは多分リタイアしてる。
なので、みわという人に電話をかける。
とげが電話をかけている間、玉犬の頭を撫でておく。
お利口さんだから、騒ぐことは無いけれど、尻尾をふっているのをみれば、喜んでいるんだろうことはわかる。
私がとげの呪言を聞いたら意味無いので、頭の内側を呪力でおおって、一応距離も離す。
｢はい、役立たず三輪です｣
｢"眠 れ"｣
とげが電話越しにそう言うと、スースーという寝息が聞こえてきた。
とげは電話を切ると、玉犬をワシワシと撫でて｢"戻 れ"｣と言った。
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作者名：さんめーとる | 作成日時：2021年3月8日 18時
