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｢狗巻先輩が止めてくれる、ビビらずいけ｣
めぐみが鵺の頭を撫でて、鵺は一直線に呪霊に向かっていく。
だけど。
｢" っ "｣
｢とげ…！｣
とげの声は聞こえなかった。血を吐いてその場に蹲ってる。限界が、きちゃったんだ。
｢のりとし、うしろ！｣
呪霊は鵺を破壊してすぐにのりとしの背後に回る。
とげの様子を見てたのりとしの反応が一瞬遅れて、顔面に攻撃をくらった。
ふっ飛ばされたのりとしに、トドメを刺そうとあの鋭く伸びる木の芽が飛んでくる。
｢のりとし、大丈夫…！？｣
｢生きてますか！！加茂さん！！｣
間一髪で私たちがその場からのりとしを引きずって動かす。
のりとしはぐったりしてて、もう動けなさそう。
…これからどうしよう。
私が聞いたうちでとげが使った呪言は、そこまで強いものじゃなかった。それでもとげの喉が潰れた。
相手がそれだけ格上ってことなんだ。
じりじりと呪霊が近づいてくる。
今闘えるのは私とめぐみだけ。
背中に一筋汗が伝う。
自分の命に手がかかる感覚。
生きている証拠。
｢高菜｣
ポンと私たちの肩を叩いた。
真っ青な顔で、口から血を吐いて、それでもまっすぐ呪霊に近づいていく。
｢狗巻先輩！！それ以上は…！！｣
ザッザッと屋根をふむ音がやけに大きく響く。
だんだん近づく距離、そして。
｢" ぶ っ と べ "｣
大きな音とともに呪霊は隣の建物までとばされた。
血を吐いて、とげはその場に倒れる。
急いでとげに駆けつける。
気を失ってるけど、死んでない。
早くしょうこのところに連れてかないと…！
《そのナマクラでは私は斬れませんよ》
誰かが背後から、刀をそれに振り下ろしたものの、その刀は折られてしまう。
けれど、その一瞬の隙にめぐみが目の樹を斬った。
｢まき…！｣
｢よぉ、A。無事か？｣
こくりと頷く。
その時、めぐみが先程斬った部分が再生し始めた。
《こちらの刀は悪くない》
｢もっといいものがあるぜ。これを使うのは、胸糞悪ぃけどな｣
めぐみが特訓の時に見つけた、影を使った武器の出し入れ。
めぐみの影から1つの呪具を取り出す。
呪具、呪いを宿した武器。
呪具にも等級があって、等級が高いほど強くなる。
めぐみが取り出した呪具。
売ったら5億はくだらない代物。
｢特級呪具、"遊雲"｣
その威力は、森へと吹っ飛ばされた呪霊を見れば明らかだった。
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作者名：さんめーとる | 作成日時：2021年3月8日 18時
