�� ページ20
「…Aちゃんは終電何分やったっけ？」
ああ、あほや俺は。
どうして、言えへんのや。
『この後、おれんちで飲み直さへん？』
それだけの簡単な言葉やのに。
彼女の表情は何とも言えないキョトンとした顔で、目を逸らして、
「あ…24分です」
少し困った顔をして笑った。
頭の中に水田信二が出てくる。
『いや賢志郎、お前はそーゆうとこがあかんねん。Aちゃんも、あんなにわかりやすくゴーサイン出してたやん！ほんっとにそーゆとこやで。恋愛魔法使いはどうしたん！？』
「うるさい、わかっとるがな」
しまった、と思った時にはもうおそい。
頭の中の水田くんに返事しようと思ったら口に出してしまっていた。
「えっ」
「ああああちゃうねんちゃうねん。ちょっと水田くんにのこと思い出してて。お会計いこか〜」
強引に話を終わらせて、伝票を持つ。
「Aちゃん先出ててや」
「え、そんな。わたしも払いますよ」
ほんとに財布を出して払おうとするから、
「いやいやいや、ひとまわりも下の子にお金出してもらうような情けない男にさせへんといてや」
これはもう男の意地だった。
「…そーですか？じゃあ、今度の時は、わたしに出させてくださいね。ありがとうございます！」
少し不満そうに先に店を出て行く背中を見送って、これからどうやって誘えばいいかを考える。
あと、彼女の電車が出るまで約15分。
どうしてもっと、この店に居座って終電を逃さそうとしなかったのか、後悔する。
でも、さっき河井くんから電話があって思った。
このままだと、Aちゃんは河井くんとも飲みに行ってしまう。
ただの友達のままじゃ、引き止める術を持たない。
もしかしたらその飲みで、河井くんが告白なんかしたら、Aちゃんは付き合ってしまうかもしれない。
ヘタレな俺なんかより、河井くんの方がスマートに彼女をエスコートするのかもしれない。
だから、今日中に告白せな、あかん。
Aちゃんに好きっていって、彼女になってほしい。
河井くんと飲みに行かんといてって言える立場がほしい。
なんて言えば自然だろうか、なんて考えて外に行くと、Aちゃんが少し肌寒いからか、ポケットに手を突っ込んで白い息を見ている。
(モデルさんみたいやなぁ)
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ニコ(プロフ) - スイレンさん» 感想ありがとうございます！そう言っていただけると、とても嬉しいです！！本当にありがとうございます！(^^) (2019年2月19日 11時) (
レス) id: 3823045005 (このIDを非表示/違反報告)
スイレン(プロフ) - キュンキュン通り越してボロ泣きでした（；＿；）話の構成とか言葉選びすごい好きです！次も楽しみにしてます！！頑張ってください^ ^ (2019年2月18日 23時) (レス) id: 385caaf0e3 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - みかんさん» 感想ありがとうございます！励みになります！ (2019年2月16日 17時) (レス) id: 3823045005 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - とっても、キュンキュンしました！！！続きたのしみにしてます！忙しいかと思いますがお体に気をつけて頑張ってください！応援してます。 (2019年2月13日 21時) (レス) id: 5d7a0dace4 (このIDを非表示/違反報告)
くおん(プロフ) - よこるなさん» 変換がうまくいってなかったみたいです。すみません。直しました！ (2019年2月7日 10時) (レス) id: f203054266 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くおん | 作成日時：2019年1月31日 20時
