��主人公side ページ13
二人で駅の真ん前のマックに入る。
たくさんの人たちが行き交う。
一瞬、来てくれないんじゃないかって思う。
もう、賢くんの隣には他の誰かがいるんじゃないか、なんて考える。
この5年間、毎年雪が降るたびに、悲しくて寂しかった。
一人で雪道を歩いて、隣にいない彼を思い出していた。
彼の隣を、今は誰が歩いているんだろう。
雪が綺麗やなぁ、なんて、彼は他の誰かに言ってるのかな。
嫌だなぁ。
もう一度、賢くんの隣を歩きたいな。
でも、そこから動く勇気はなかった。
5年も、わたしは賢くんから逃げていた。
傷つけたことを謝らず、彼が突き放してくれたことをいいことに、逃げた。
あんなに、悲しそうに、苦しそうに放った言葉を、受け止めるフリをして、目をそらした。
そんなわたしが、もう一度彼に向き合う資格があるのだろうか。
水「A、これだけは言っとくけどな」
一緒に外を見ていた水田くんが真剣な顔をしてこちらを向く。
水「賢志郎は、Aと別れてから誰とも付きおうてない。ひたすら漫才にのめり込んで、周りを見えんようにしてた。でも、やっぱり苦しそうやねん。Aと付きおう出た時のほうが、普段の賢志郎は笑ってたで」
水「漫才師なんやから、笑ってなきゃだめやろ？他の人より面白く生きなきゃだめやと思うねん。だから、賢志郎にはAが必要なんやと思う。余計なお節介をしてたらごめんな」
「余計なお節介なんかじゃないよ、水田くんが背中押してくれなかったら、ここまで来れてないもん…ありがとう…」
時計が、賢くんの電車の出発時刻になる。
やっぱり、そうだよね。
…賢くんに会いたかったなぁ。
涙で滲む目を外に向けると、雪景色が目に移り、ふと去年の未送信メールを思い出した。
あの日もこんな雪だった。
『こちらは初雪です。そちらは雪が降っていますか？』
そんな風に賢くんに送ろうと思ったけど、やめた。
賢くんの見える景色に、他の人が写っているかと思うと、怖くて。
だけど、やっぱりわたしは…！！
「水田くんごめん！やっぱりわたし、賢志郎さんを追いかけ…」
水「あ！賢志郎や！」
水田くんの声に、ハッとして駅の方を見ると、シュッとした男の人が、めちゃくちゃ一生懸命走ってくる。
涙が溢れるのがわかる。
…来てくれた。
水田くんの言う通りだった。
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ニコ(プロフ) - スイレンさん» 感想ありがとうございます！そう言っていただけると、とても嬉しいです！！本当にありがとうございます！(^^) (2019年2月19日 11時) (
レス) id: 3823045005 (このIDを非表示/違反報告)
スイレン(プロフ) - キュンキュン通り越してボロ泣きでした（；＿；）話の構成とか言葉選びすごい好きです！次も楽しみにしてます！！頑張ってください^ ^ (2019年2月18日 23時) (レス) id: 385caaf0e3 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - みかんさん» 感想ありがとうございます！励みになります！ (2019年2月16日 17時) (レス) id: 3823045005 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - とっても、キュンキュンしました！！！続きたのしみにしてます！忙しいかと思いますがお体に気をつけて頑張ってください！応援してます。 (2019年2月13日 21時) (レス) id: 5d7a0dace4 (このIDを非表示/違反報告)
くおん(プロフ) - よこるなさん» 変換がうまくいってなかったみたいです。すみません。直しました！ (2019年2月7日 10時) (レス) id: f203054266 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くおん | 作成日時：2019年1月31日 20時
