21話 君に言った ページ22
・
駅を出て少し歩けば、そこにはすでに華やかな花街が広がっていた。あちらこちらに遊郭が並び、時には食事処があったり、三味線が聞こえてきたり。
今までの人生で花街に行った経験はなかったので、こんなところなのだなと感心した。花街全体、至る所から欲と愛憎の気配がする。
歩くのが速い霞柱様を見失わないように追いかけつつ、目では遊女が着ている華やかな着物を追っていた。豪華な刺繍や、高級そうな小物、派手な紅の色。どれもまるで遊女たちの鎧のようで、それを身につけた彼女らは勇ましくすら見えた。
「……着いた」
霞柱様が足を止める。どうやらここが指定されていた建物のようだ。
『__________?』
場所的にはここで間違いないはずなのに、上弦の弐が現れたと言えるほどの大きな痕跡はまるでない。
ひとつの可能性が脳裏をよぎる。
まさか_____
『……あの、』
「はい?……え、あ、あの、ええっと……」
通りかかった男性を呼び止める、目を逸らされたり挙動不審になられたりするのは慣れっこなのであまり気にならない、それよりも情報収集が先だ。
「参ったな、こんな美人さん……本当にいいのかい?へへ、さあ早く君の店に連れて行っておくれ」
『?あの、何を……』
「何って、花街で男に声をかけたんだからそんなの決まってるだろう。早く相手をしてくれ」
手をグッと強く掴まれる。鍛えている身からすればこの程度何でもないのだが、仮にも鬼殺隊士である私が男に身売りと勘違いされて連れ去られてしまいそうになっている絵面は大変よろしくない。
「……ねぇ、そういうのやめてくれない?」
空間を切り裂くように、彼の言葉は放たれた。
そのまま私と男との間に割って入り、男に向かって言った。
「遊女じゃないから」
「はぁ?じゃあこんな所で声掛けてくんなよなぁ!!んな紛らわしいもんつけやがって!!」
その辺に置いてあったものを乱暴に蹴飛ばして、男はどこかに行ってしまった。破壊された建物について聞こうと思ってたのに……無念だ。
次こそは失敗しないぞと思い他の人に声をかけようと向き直った瞬間、霞柱様に呼び止められた。
「聞いてるの?君に言ったんだよ。大体目立つのを自覚しているなら顔を隠しなよ。ジャラジャラ装飾品をつけてるから遊女と間違われるんだ」
話しつつ、凄まじい速さでの抜刀。刃先は私の髪飾りに向けられている。
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした!
305人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ほしいも(*^^*)(プロフ) - 設定めっちゃ自分の好みでした!(笑)更新少しずつでいいので頑張ってください〜!😁 (12月13日 16時) (レス) @page40 id: 88768a4726 (このIDを非表示/違反報告)
向汰(プロフ) - 空桜さん» そう言っていただけて嬉しいです!それに、私以外にも頑張っている方がいらっしゃるのだと思うと少し肩の力が抜ける気がします(´˘`*) 試験頑張ってください。応援しています (2019年9月23日 1時) (レス) id: 1112aaa288 (このIDを非表示/違反報告)
空桜(プロフ) - 待ってますね!私も就職試験あります。お互い頑張りましょう! (2019年9月23日 1時) (レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
向汰(プロフ) - 何卒さん» ありがとうございます〜〜!気長にお待ちください(´˘`*) (2019年9月22日 21時) (レス) id: 1112aaa288 (このIDを非表示/違反報告)
何卒 - めっちゃ気になるところで終わってしまってウズウズしてます。笑 続き楽しみにしています! (2019年9月21日 1時) (レス) id: 58baba6999 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:向汰 | 作成日時:2019年8月25日 1時