ハート乱用する系上司に日々苛ついています【文スト】

回想が一つ ページ37

異能力は、己の一部分が表出したものである。
そう、世間一般では囁かれている。
まあ其れが間違いとか、そういう訳では無いのだが…。寧ろ中っている。

太宰幹部の、万物を無効化する能力も。
私の、なにもかもを化かし欺く能力も。

…全てが、とは言わないが。
きっと己の一部分なのだろう。

何時からかは忘れたが、其れはぼんやりと自らの体にまとわりついて鬱陶しいことこの上ない。でも、其れが生きる道を随分と楽にしてくれている。

昔、叔父に連れられて行ったあの演劇の天使達とは、違う。だが、あの、「異能が当人を倖せにするとは限らない」という文言は言い得て妙で。現在、こんな職に就いている人間としては納得しか、無かった。

観劇後、叔父はこう言った。

「お前はお前の道を行くがいい」

その意図は未だによく分からないけれど、兎に角、私を気遣ってくれていたというのは分かった。何故なら、私はその１週間前に初めて人を殺(・)め(・)た(・)から…。
憔悴し切った私を態々横浜まで連れて来て、あの演劇を見せた。
其れにどんな意味があったのか。

まだ、分からない。
ーー
よく分からん回は作者の精神が不安定な回だと思っといてください

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あずきいろ

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