ハート乱用する系上司に日々苛ついています【文スト】

ハジメマシテが5個 ページ32

沈黙と云うものは時に苦痛になるものだけれど、今現在の其れは中々に快適で過ごしやすかった。過ごしやすさというのは色々なものを判断する基準の一つでもある。まあ、そんな事は先刻ご承知だとは思うが。
この男の子…治くんと居ると、まるで登美彦と居るかのような感覚に陥ってしまうのだ。

知らない人に説明すると、登美彦は今年から高校生で思春期真っ只中の弟だ。若干自分にブラコンの気があるのは自覚があるが、そんな私の贔屓目を覗いても可愛い、いい子だ。
そんな弟に、似ている。

「…洗剤飲んだら死ねるかなぁ…」

突然物騒な独り言を云った治くんを視線だけで二度見した。私にあれを耐える事は、出来なかった。私の反応が過剰(オーバー)だというのなら、これより最小限の反応で抑えられる人間を出して欲しい。多分居ないだろうけど。
居たら教えてください、祀りあげる。

『…苦しいですよ、物凄く』

有り体に言えば、やった事がある。
故意にやったのでは無く事故であるのが治くんとの違いではある。故意といえば故意ではあるが、あの時の私には判断力何て便利なものは備わっていなかった。この中にも少なからず好奇心旺盛な幼少期を送った方が居ることだろう。そう、目に入る物を手当り次第に触り、舐め、壊し、痛い目を見るあの幼少期だ。

お察しの通り、彼の時代の私は食器用洗剤を食べた。きらきらと光る橙色の不思議なものがあったら自らの口に入れたくなるお年頃だったのである。仕方ない。仕方ないが全く宜しくない。そして案の定…はは。胃洗浄を受けることになった。凄く苦しかったとだけ述べておこう。

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森見ちゃんの幼少期とか可愛いんだろうな…。
作者は洗剤を食べた事はありません。紙ならありますけどね←

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