episode 107 ページ17
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時間が、一瞬泊まったような気がした。
危ない。
翔太さんに点滴を投げ付けられた沙和ちゃんに向かってそう言おうとした時に、言葉が出なくなってしまった。
沙和ちゃんはそれを見透かしてたかのように、ベッドから転がり落ちて、それをギリギリ回避した。
『…………は、…え?』
二階堂「えっ………?」
私達が予期せぬ状況に揃えるような形で声を出すと、沙和ちゃんは手首に巻かれていたガムテープを取った。
そしてそれをボイっと軽くどこかに投げて、沙和ちゃんはベッドに手をついて立ち上がった。
黒島「…すいません、二階堂さんには無理でしたね。」
二階堂「いやっ……」
沙和ちゃんは何故かさっきまで自分が寝ていたベッドに口から血を吐き、翔太さんの方をじっと見た。
翔太「お前か…!やっぱりお前か!!」
『…沙和ちゃん、なの?』
私達がそう言うと、沙和ちゃんは翔太さんの方を向いたまま、人差し指を立てた手を口の前に出した。
そしてそのまま翔太さんにニヤッと笑いかける沙和ちゃんの姿を見て、私は余計に混乱してしまっていた。
黒島「二階堂さんは、私を想って協力してくれただけなので…どうか許してあげてください。」
そんな世間話のノリで話し出した沙和ちゃんの言葉を受けて、お兄ちゃんは近くの椅子に深く腰かけた。
私はようやく混乱していた頭がだんだん追いついてきたのに、次の沙和ちゃんの言葉でまた混乱してしまった。
翔太「これの何が協力なんだよ!!」
黒島「えっとー、いつも、人を殺す度に…「私何してるんだろう……。」って思ってて。」
『………………え?』
翔太「……はぁ?何?」
黒島「人殺しは良くない事、っていうのは分かってるんで、私なんて死んだ方がいいのかなぁ…とか。」
翔太「勝手に死ねばいいだろ!!」
黒島「だからぁ…」
翔太「どーやんもなんでだよ!?」
二階堂「話を最後まで!」
翔太「毎日一緒に推理して鍋食って、AI菜奈ちゃん作って!俺の暴走を止めてくれてさ、どーやんがいたから俺…!」
二階堂「じゃあどうすれば良かったんですか!?僕が作ったAIが、何度も何度も黒島さんを犯人だって言うんです!
…AIが……人の感情や思い込みを排除して客観的に分析すればするほど、僕は僕の、人間としての感情を優先したくなって。……すいません。」
翔太「分かるけどさぁ!!」
『………分かりません。』
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そある(プロフ) - こんにちは。突然連絡をしてしまい、すみません!あなたの番ですの再放送をしており、この夢小説の内容が気になって、読んだ結果とても面白い、楽しいと感じました。完結おめでとうございます!作者さんにはとても感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。 (2021年7月10日 16時) (レス) id: c056380204 (このIDを非表示/違反報告)
橋本@かんな(プロフ) - 完結おめでとうございます!全話楽しく読ませていただきました。終わってしまうのが寂しいです…。作者さんには「ありがとう」でいっぱいです。お疲れ様でした! (2019年11月10日 10時) (レス) id: f44fa375d7 (このIDを非表示/違反報告)
ユーナ(プロフ) - 完結おめでとうございます!いつも陰ながら応援していました。とても読みやすく本当に面白くてキュンとして完結したのも少し寂しいです ただ本当にありがとうございました!この小説に出会えて良かったです (2019年11月10日 2時) (レス) id: cd6555e146 (このIDを非表示/違反報告)
がなと(プロフ) - 完結おめでとうございます!いつも楽しみに待っていた小説でした。本当に面白かったです! (2019年11月10日 1時) (レス) id: 9453040fcf (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 135話に誤字がありました。「同性」ではなく、「同棲」です。 (2019年11月9日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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