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松岡茉優「...ねぇ。」
磯村「...は、はい。」
喋りかけてきたのは
あまり話さない女性からだった。
松岡「...これ。」
そう言って手渡されたのは
いつかに彼女が僕に自慢げに見せた
目が見えなくても使えるらしい
ボイスレコーダーだった。
磯村「...え？」
松岡「茜ちゃんから、私に何かあったら、君にそれを渡してくれってお願いされてたから。」
磯村「...はあ。」
松岡「茜ちゃんがいた部屋、今は誰もいないから、そこで聴かせろって言われた。」
何が録音されているのだろう。
僕に対する愚痴か?
あまり期待はしなかった。
とりあえず、彼女がいる...
いや、いた部屋に行った。
磯村「来た、よ...」
そうだ、君はいないんだ。
その静かな部屋に違和感を覚える。
彼女の変に明るい声が聴こえない。
彼女がいたはずのベッドは空っぽ。
ベッドの横に椅子を持ってきた。
そこに座り、レコーダーを見る。
一見、普通のレコーダーだ。
再生のボタンが出っ張っている。
何を録音したのだろう。
彼女は、一体何を撮ったんだ。
僕に何を伝えたかったんだ。
変に緊張して、汗をかく。
深呼吸をして、再生ボタンを押す。
『...余命まで、一日です。』
レコーダーを落としそうになった。
聴こえてきたのは、紛れもなく
彼女の声だった。
『この音声を聴いてるってことは、もう私はそこにいない、という事になります。』
『多分、いま部屋にいるの君だけだよね？』
『君って言っても分からない？いや、絶対分かるでしょ。私と違って目も見えてるんだし。』
『君だよ、君。私に一回も笑い声を聞かせてくれなかった、君だよ。長谷、晶くん。』
『あ、もしも、いま私が生きてるなら、この音声はここまでにしてね？絶対消して。』
君の予想通り、君は死んでる。
この部屋には、誰もいない。
『私も一人です。そして夜です。』
『看護婦のゆかりちゃんの許可を得て、いま、君宛ての私の声を録音しています。』
彼女の声は、いつも通りの声だ。
変に落ち着いたような、優しい声。
不思議だ。
君がまだいるような気がする。
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さくら - イキキル、キミスイですね。 (2020年1月18日 15時) (
レス) id: 76e4ffe107 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 早速書いて頂いてありがとうございます！期待以上でした(*≧∀≦*) (2019年6月6日 22時) (レス) id: e90feb906e (このIDを非表示/違反報告)
花火2016(プロフ) - 蓮さん» 了解しました！ありがとうございます！ (2019年6月6日 1時) (レス) id: cdf4b9c055 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - イキキル、切ないですね(;_;)作者さんの文章、めちゃめちゃ好きです！お話を１つリクエストさせて頂きたいのですが、「ヒロインが他に好きな人ができたから別れてほしいというドッキリを番組で仕掛ける」お話をお願いしたいです！これからも楽しみにしてます！ (2019年6月6日 0時) (レス) id: e90feb906e (このIDを非表示/違反報告)
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