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前田藤四郎 ページ3

「前田藤四郎と申します、末永くお仕えします」




僕は主君の初鍛刀、懐刀です。僕は体の扱いが上手くなく慣れるのに何日も掛かりいつも主君に迷惑をかけていました。懐刀なのに、主君を守らないといけないのに

ずっと、ずっとずーっと何日も思っていました


数日もすれば仲間も増えてきてそうすると僕よりも優秀な刀、兄弟達も増えます。それが余計に僕を追い詰めて無理に慣れようとし出陣以外でも怪我をすることが増えていく




(なんで、僕はこんなに無能なんでしょう…)




無意識に"僕は無能"と思い込んでしまい涙が溢れてきました。それは酷く冷たくまるで僕を責めるようなそんな感覚

本丸の裏庭で一人泣いていた所を主君に見られてしまい酷く慌てられた様子で僕に近寄ってきました




「前田くん?どうしたの、嫌な事あった?もしかして私何かしちゃった!?」




そう言って主君が自身の悪い所を上げていく姿に僕はただか細い声でしゃくり上げながら喋ることしか出来なかった




「いえ、ちがう、ちがいます、ただ、」




思い通りに言葉が喋れず脳だけが言い訳を続けていく

主君はそんな僕を見て責めようとせず手を握ってくれました




「前田くん大丈夫、時間はたっぷりあるさ。ゆっくり自分のスピードで話すといい」




赤子に話しかけるような優しい声色がとても嬉しく僕は小さく頷き少し待ってもらいました

数分もすれば落ち着いてなんとか喋れるようになり再度口を開いた




「僕は…他の方達とは違い体を上手く使えません。そのせいで出陣でも日常生活でも主君や他の方達に迷惑をかけてしまっています。そんな僕が情けなくて…」




苦しいんです

そう言えば主君は何も言わずに抱きしめてくれ頭を撫でてくれました



「前田くん、君はいつも頑張ってるよ。他の子が怪我を隠してても見つけるのも悩んでいたら相談に乗ってあげるのもいつも前田くんだし私だって書類すぐ誤字しちゃってそれに気付いてくれるのは前田くんだしご飯も誰が作ったかすぐに分かって褒めてくれる」

「前田くんは私たちの心の支えなんだよ」




何故かその言葉に嬉しくなり涙がまた溢れ出してきて主君の服を汚し始めたのに主君は気にせず頭を撫で続けてくれた




「主君、ッ主君、ありがとう…ございますっ!!」




その日から僕は前を向いて何事にも挫けず助けてもらいながらも今までをすごしてきました。

立派になった僕は




「藤四郎の名に懸けて」




皆の盾になりましょう__

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作者名:黒谷桃里 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8734ef32593/  
作成日時:2023年10月12日 1時

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