口説く審神者 (ページ2)

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山姥切国広ページ2

俺は主＿翡翠の初期刀である

写しの俺が初期刀だなんて、と思っていたがそんな考えは直ぐに闇の中に消えた

＿＿就任初日＿＿

「山姥切国広だ………なんだその目は、写しだというのが気になると？」

きゅ、と襤褸布で顔を隠す

「あ、主……？」

返事が無い、やはり写しは駄目だったか…？

不安に陥っていれば、主のスラリと長い手が俺の顔に当てられる

『あぁ…山姥切国広……月のように明るく周りを照らしてくれる金色の髪、私とお揃いの翡翠の瞳……
それを隠す襤褸布は勿体ないがそれをも君を引き出しているねふふ、君を選んでよかったよ』

次々と放たれていく褒め言葉に顔がジワジワと赤くなっていく感覚がする

「あ、あ……」

『？どうしたんだ、山姥切国広』

「綺麗とか！！！！言うな！！！！！！！！」

鍛刀部屋に響く俺の叫びに主とこんのすけは驚いた様に俺を見た

＿＿＿現在＿＿＿

今思えば、あれに慣れるなんて不可能だったんだ

普段はよく分からないことを喋ってばかりな癖に突然口説いたと思えば自覚無しと来たもんだ

この本丸に居る刀剣男士は皆、主に口説かれやられている

「主、書類を持ってきた」

スッと襖を開ければ机に向かって座っている主

短く切られた黒髪に長いまつ毛で伏せられた俺とお揃いの翡翠の瞳はとても綺麗で、美しい

『あぁ、切国！ありがとぉぉ…主が書類整理苦手でごめんね！？！？』

美しい顏をくしゃりと崩しながら謝る主はかっこよくない、がこの顔を見れるのは初期刀の俺だけだと考えると満更でもない

「別に平気だ、ほらさっさと続きやるぞ」

『うん！！！』

隣の机に座り書類をやっていれば視線が痛く突き刺さる
主の方を見れば主は緩く口角を上げて微笑んでいた

「……何見ているんだ」

『ん？あぁごめんね、切国の手はスラッとしていて細く美しいけれどやはり刀を握っているだけあってしっかりとしているなと思って…私はこんなに細い手で守られているんだな…って思ったら嬉しくなってね。でもジロジロ見すぎちゃったね』

そう言い書類に手をつけ始める主に俺は思わずポールペンをへし折ってしまう

その音を聞いた主は驚いて「あぁ…インクが切国の手に…！！！」なんて騒いでいるが俺はそれどころじゃない

「いい加減！！！！！俺を口説くのは辞めてくれ！！！」

極めても無理なものは無理なんだ！！！