【ツイステ】でかけよ、オンボロ寮(仮)

243.その小さな体に ページ43

ジェイドside


自分の足の間に収まる彼女は人が変わったように大人しい
顔を合わせたらいつも食い入るように見つめるのに対して、今日は数えられるほどしか目が合わない



『…


はい』



ジェイド(…少し、怖がらせてしまいましたかね)


飄々として素直ではあるがなんだか掴みどころはない
いつもなら何をされたところで淡々としているのに
自分の手の届くところで小さい子供のように怯えている

正直これはこれで好ましいが、加減を間違えればまた当分警戒されそうだ

額をすり寄せると、彼女の表情から強張りが取れて僕の足に体重を寄せた
緊張が解けたのかこちらを見て様子を伺っている

相変わらず単純な人だ
警戒心を少しは覚えたと思ったのに、こうしてすぐに心を許してしまう


ジェイド(まぁ、どちらも好都合なので僕は構いませんけど)




『…あ』


ジェイド「？」


『口、珍しいですね。荒れてるの』



そう言って僕の唇に小さな指先で触れる


荒れている、と言葉をかけられたのは初めてだった
陸に上がってからもヴィルさんに指摘を受けるまでは考えたこともなかったのだが
僕たち人魚というのは体表粘液の名残があるのか肌の質が人の標準に比べて良いそうだ

冬季も乾燥を感じたことはないし、
そう言うものを取引目的で作り出しても自分たちで使うことはない



ジェイド(…あぁ、なるほど)


夢中で拭っていたので気がつかなかったが、目に見えてわかるほどに傷つけていたようだ
正直そんなことに興味はないが、すっかりいつも通りの調子を戻した彼女はじいっと目を凝らして僕の姿を映す


小さい体に細い四肢


いつもは血色が良い程度の色付きなのに、今日は血赤珊瑚の色を映したような鮮やかな赤に唇を染めている
自分に触れる手を取ると、手の甲はしっとりとしていて包めば簡単に手の中に収まってしまう
白粉を叩いたあの色のない手より、こちらの方がずっと良い
引き寄せ手首に頰をすり寄せると甘さの混じった柔らかい匂いが鼻腔をくすぐった


それにしてもまた随分と大胆な格好ですね


胸下から下腹部までウエストを惜しむことなく晒して、
雄しかいない学園をこの姿でうろついてよく無事でいられるものだといっそのこと感心さえできる

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