【ツイステ】でかけよ、オンボロ寮(仮)

238.餌は自分の方だった説 ページ38

部屋を訪れると、
ドアが開いており中は暗いと見るからに不自然だった

トレーで両手が塞がっていたので失敬、と足でドアを失礼したのだが
中にいる本人は口元に手を置いたまま俯いてソファに座っており、此方に全く気づいていない様子で
私はテーブルの端にトレーを置いて彼の斜め前に座るが見向きもしない
床を見れば足元には手袋、入り口近くには帽子も落ちていた


(…そんなに疲れるような接待だったのだろうか)


指定暴力団(オクタヴィネル)トリオの中で一番冷静を保てる人物だと思っていたのだが、
なんだか今日は荒れていらっしゃるようで
少し覗き込むと目を細めて小難しい顔をしていた


(…考え事？)


声をかけると本当に今まで気づいていなかったのか彼は私の姿を捉えると目を見開いた



『…えっと、大丈夫ですか？』



ジェイド「…貴方、なぜ」

『え、…っと。これ、フロイドさんからお願いされまして』

ジェイド「…それは、どうも。…お手数をおかけしました」

『いえ、そこまでのことは…。…あの、大丈夫です…？』


おーいと手を伸ばし目の前で振ってみせるが彼には一体何が見えてるのだろう
口を少し開けたまままるで人ではない何かを見たように瞬きを繰り返している

からかわれていると思ったが、これもしかして疲労限界で幻覚とか見えてるんじゃ…

(…人魚って何科なんだろ)

学園内に人魚を診れるお医者様は果たしているんだろうか
いやワーカーホリックとかなら万物共通で精神科でいけるのか…？

ジェイド「…」

彼は返答もなく突然立ち上がり、扉の横にあったスイッチを一つだけ押すとドアを閉めた
金庫手前の照明だけがつきまだ薄暗いが視界に問題ない程度には明るくなる



『？、あの』





ｶﾁｬﾝｯ





(…今の、明らかな金属音は…)




『…え、いま鍵閉めました？』


ジェイド「えぇ、それが？」

『…え？えっと、…え？』


なぜ閉めた？と続けたのだが振り返った時の目が笑っていない笑顔
先ほどまで心ここにあらずだったのに今は意識を取り戻したように言葉に力が宿っている

え、なに。今日もしかして本気で機嫌悪かったりする？



ジェイド「少し、僕とお話して頂けますか？」

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