【ツイステ】おいだせ、おんぼろ寮(仮)

178.呼んでないのにくる ページ28

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ユウ「材料足りるといいですね」

『幸せだねぇ、苺のホールって』

グリム「俺様腹一杯食べるんだゾ！」


今日は久しぶりに三人での穏やかな時間を過ごしている
購買部に寄って個人で持ち寄るケーキの材料を購入したところだ
エーデュースのおかげで週末のお茶会は着々と用意が進んで、明日本番を迎える


『…むー』

ユウ「どうしました？」

『唇カサカサする』

ユウ「…あ、だったら

Aさん。んーってしてください」

『んー？』

彼は紙袋の中から何かを取り出して、同じことをしてと言うようにんーと声に出して口を閉じる
何だろうと思いつつ、口の形を真似してみせると指がすっと伸びてくる
片手が顎に添えられて、ぐいっと距離が近くなりユウくんの顔に少しびっくりした

ユウ「はい、馴染ませてください」

『？』

ユウ「ここ」

唇？
パクパクとまた同じようにレクチャーされるので再び真似をすると
擦れていた唇がなんだか滑らかなものに包まれたことに気づいた

『…いい匂い』

ユウ「美味しい匂いしますよね、これ。…あ、やっぱり似合う」

ユウくんの手にあったのは、私が初めて購買部に行った時に余裕ができたらと仮予定を立てた透明の器に入った口紅だった
色もあの時私が見ていたものと同じ、ツヤツヤの杏色


ユウ「これ、使ってください」

『え？』

ユウ「俺からのご褒美、貰ってくれませんか？」

『い、いやいやいや。ユウくんこの前もワンピース…』

ユウ「少しお給料余ってたんで。それに必要でしょう？切れちゃいますよ」

『…お姉さん今日晩御飯頑張るねぇ』

ユウ「はい♪」


そうにっこり微笑んで私に器を手渡してくれる
片手に十分収まる品だが私にはどんなものよりも価値のあるものに思えて
両手の上に置いてじっと見つめた

小悪魔的なところがあると思っていたが、ジェントルマン要素も持ち合わせている

男として完璧ではないであろうか

こんな愛らしい見た目でその気遣いと視野の広さ、ここが共学であったならあの男どもは女を囲むだろうがこの子と交際した奴が絶対に勝ち組だと思う


(宝物にしよっと)




アズール「おやおや、こんな人目のつく場所で。大変仲が宜しいんですね、お二人とも」



...いつの間に背後に？

一番お呼びでなかった人物が心にもない台詞で登場した



フロイド「あー♡小エビちゃん達じゃーん。なぁにしてんのぉ？」

ジェイド「これはこれは、皆さんお揃いで」



嘘言った

アズール(あいつ)は二番目だ

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