『匂いつけても、いいですか？』【歌/い/手】

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「知ってるか分からないんですが、嗚呼、素晴らしきニャン生というボカロ曲があってすごくその曲可愛いんです！ それで、ねこさんの猫、というイメージに合ってるんじゃないかなって思って…」


どうですか！？と興奮した様子で聞いてくるので、頷くしかないだろう。

それに、その曲は私的にも歌いたかったものリストに入っていたので、天月さんと歌わなくてもゆくゆくは歌っていた。


私が頷いたのを確認してから、やった！と無邪気に喜ぶ天月さんを見て、このコラボ受けて良かったな。と今更ながら感じた。


と、そう思った刹那、背中に刺さる視線に思わず振り返る。
けれど、振り返った先は変わらず盛り上がっている人達が目に入った。


何だったのだろう。疑問に残るが、今はコラボの話を最優先。目線を元に戻し、天月さんと話を進めた。


「えぇと、話を纏めると歌う曲は嗚呼、素晴らしきニャン生で、撮る場所は僕のお家でいいんですよね？」

そこから、またさらに「ここはアレンジ加えよう」とか「台詞入れる？」など話し合った結果、今度、天月さんの家で歌を撮ろう。という事になった。


会って間もない人に家の場所を教えて良いのか、と思ったが天月さんが良いのならまぁ、大丈夫なんだろう。


「そろそろ、行きましょうか」
『そーですね、結構時間だったようですし』



と言って、時計を見る。うん、カフェで色々食べたからあまりお腹すいてないけど、もう夕方だ。早いな。


まぁコラボ曲以外でも色々個人の事とか話したし。そりゃそうか。



カフェを出て、ぶらぶら歩いていく。
あ、ここから見える夕日すごく綺麗だなぁ。


なんて、そんなことを考えていたら、天月さんが急に止まった。


「あの、ねこさんっ！！！」
『っ！？……は、はい…？』


大声で名前を呼ばれたもんだから、思わず肩がびくりと震えた。

な、なんだどうしちゃったんだよ急に、と思い、天月さんの方を見るが、彼はもじもじしているだけで中々口を開かない。


ここは、私から何か言った方が…いや、やめとこう。天月さんが話してくれるまで待とうか。


「その……僕に、気を遣わないで敬語外してくれませんか！？」


意を決したように言った言葉は、何とも呆気ないもので私は思わずへっ、という間抜けな声を出してしまった。




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