『匂いつけても、いいですか？』【歌/い/手】

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「え、と。どうも、初めまして、そらると申します。まふまふと同じ歌い手をやっています、よろ、しくおねがいしますね。」


そういって、そらると名乗った男性はふわりと笑った。とても、上品に笑う人だな。女装させたら同性にもモテるだろう。

そらるさんの自己紹介が終わり、ご飯屋に向かうのかと思ったが誰も動かない。キヨは、私に何かを訴える様に目線を合わせてきた。


……あぁ、自分も自己紹介しろと。


『……どうも、ねこけいうたいてという名前で活動しています。よろしくお願いします』

言い終わると同時にぺこりとお辞儀をした。

私が自己紹介を上手くできたのが嬉しいのか、キヨはまた私の頭を撫でようとしたので、上げられた方の手をぱし、とはたいた。


さすがにずっと撫でられるのは鬱陶しい(厳しい)


自己紹介が終わり、まふまふさんとそらるさんの方を見てみると、何故かそわそわしている。まふまふさんと目が合うと、彼は何かを決心したかの様に口を開いた。



「あ、あのっ！ ねこさんって…！ 女性ですか！？」
『え、あぁ、はいそうです。女性ですよ』
「そ、そうなんですね！ 有難うございます！」



律儀にお礼を言ってくれたので、いえいえとだけ返しておく。っというか私女に見えんかった？結構ふわふわしてる服選んだつもりだけど……


それに、そらるさんは私のことをガン見してるし、まふまふさんはずっとそわそわしてて何か居心地が悪い。

あぁ、悪い意味じゃなくて、空気が気まずいというかなんというか。


そんな空気をぶった切る様に、キヨが口を開いた。
「んじゃあ、さっそくご飯屋いこーぜ」


この時だけキヨが救世主に見えた。
行こう行こうとみんなで盛り上げ、集合場所から遠ざかった。


「ほら」
『ん、ありがと』


人が居ても手を握ることは辞めない、珍しくキヨから手を出してきたので有り難くその手に自身の手を絡ませた。


そして、その光景を見て居た二人はぎょっとし、驚く様な声を上げる。


「えっ！？ ふ、二人って付き合ってるんですか！？！？」
『え？ いや、付き合ってませんけど……』
「あー、これ此奴の癖なんだよ。特定の人と手を繋ぐ癖」
『まぁ、そういうことです』


そう弁解しても、二人は私達の後ろでこそこそと話している。
……なんなんだ。

まぁ私には関係ないか。と思い再び足を動かした。






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