殺し屋姉弟に愛情を (ページ19)

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１８話　☆ ページ19

「いや、護衛は要らないよ。」

エーミールはダクトに入っていったゾムとイツキと同じ行動をするように伝えた。

≪エミさん、自分がどんな状況かわかっとんのか？≫

インカム越しに聞こえてきたトントンの低く冷静な声。
エーミールの過去を知ってるものからすればそれはあまりにも危険すぎる。
だれもそう思っていた。

「安心してください、みなさん。皇太子とは話を付けますから。」

エーミールは立ち上がり、王室の方へ向かう。

≪やめいや！危険すぎる！第一、自分の身分を忘れたか！！≫

ロボロが焦ったようにエーミールのなそうとしていることを止める。

「俺が皇太子の気を引きます、その間にみなさんはAちゃんを頼みます。」

すると、今まで黙っていたグルッペンが重々しく口を開く。

≪わかった、すべてお前に任せる。だが、必ず帰って来いよ。

次期リアマ王国王位継承権第一位皇太子、エーミール＝リアマ。≫

「勿論です。総統閣下。」

エーミールはいつものように微笑んでグルッペンに答えた。

≪待ってくれ！リアマ姓ってことは・・・・。≫

ゾムが聞こうとする前にエーミールはインカムの主電源を落とす。

「さぁ。決着をつけましょうか。ハルヤ。」

「正直、帰ってこなくてよかったんだがな。兄さん。」

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次期リアマ王国王位継承権第一位皇太子、エーミール＝リアマ。

彼は昔から頭がよかった。秀才皇太子そう呼ばれていた。

彼もそれをうれしく思っていたし、誇りにしていた。

あるときまでは。

それは母親の違う、弟のハルヤが地下研究室の人間を殺していたのを目にしたのだ。

彼は薄眼を憎んでいた。それがエスカレートした果て、薄眼の人間の集団殺害に至った。

「ハルヤ、何をしているんだ！」

「すべてが憎い、すべてを得た兄さんも。薄眼の人間も！！
兄さんが薄眼の人間なのに、国民から慕われているのはなんでだ！
秀才だからだろう？だから憎い、この世のすべてが。」

その時、エーミールは片目の視力を失い、この国にいては殺されてしまうと一時逃亡した。

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「死ねぇ！兄さん！」

ふっと飛び出してきた影。

刺されたのは・・・。

「父上！！！！！」

二人の頭が状況を把握できた頃には先代国王が倒れているという悲惨な状況を生み出していた。