３週間【青】 (ページ44)

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渡辺くんが去った後から私の頭の中は渡辺くんでいっぱいだった。

変に誤解されてしまった。

せっかく授業を聞いてくれるようになったのに。

それに、照ともあんなに楽しそうに話すようになったのに。

照「…A？」

照の呼びかけでハッと我にかえる。

私たちはホームに並んで立ち、電車を待っていた。

「ごめん…なに？」

照「その…ごめんな。俺があんな言い方したせいで、渡辺に誤解されたよな」

大きい身体でシュンとする照が、いつもより小さくて何だか弱々しく見えた。

「照のせいじゃないよ。悪気があった訳じゃないんだし…」

照「ん…。俺からちゃんとあいつに話すよ、俺の言い方の問題だって。それに理由はどうあれ、生徒の話を個人的に教室でしてたのも、賭けって言葉もやっぱAの言う通りよくなかった。そのことも謝るよ」

「うん…。私からもちゃんと話してみる」

受け入れてもらえないかもしれないけど…。

少し気まずい沈黙が流れる。

あと何駅かで、照の最寄駅に着くという時、

照「あの…さ」

照が何だか言いにくそうに切り出してきた。

「うん？」

照「俺の勘違いだったらごめんなんだけど、…もしかしてAって渡辺のこと、好き？」

え…

ビックリしすぎて照をただ見つめ返すことしかできない。

「な、何言ってんの。そんな訳ないでしょ？生徒だよ？ないない、ありえないから！」

照「…そっか」

なんとか否定したけど、…照には見透かされてる気がした。

その後照からそれ以上追求されることもなく、私たちは手を振って別れた。

渡辺くんの気持ちには蓋をしたし、ちゃんと先生と生徒という線引きで実習を終えると決意したばかり。

だけど、誤解という別の問題が生じてしまった。

今のままでは完全に私は信用を失っている。

これでは先生と生徒の関係以前の問題だ。

せめてその関係性だけは信用を無くしたくなかった。

そう願ってしまう自分はワガママなのかな…

最寄駅に着き、深呼吸する。

これから、渡辺くんのいるコンビニへ向かう。

そして誠心誠意、謝罪をしよう。

そう決めて私は歩き出した。