#28 ページ28
その声とほぼ同時に電車が停車し、雪崩のように人々が降りて行く。
その流れで私も一度電車を降り、今起こった事を確かめようと後ろを振り返った。
…え
そこにはスーツを着た若い男性と、その男性の手首を掴んで物凄く不機嫌な顔をした渡辺くんがいた。
渡「駅員さーん！この人痴漢でーす！」
大きな声で渡辺くんが目の前の駅員さんに、その男性を突き出す。
男性はただ下を向いて逃げようとするも、同じ電車に乗っていた数名の男性たちにすぐに取り押さえられた。
渡「この子が被害者です。俺見てました。ね、見てましたよね？」
そう言って私の横に並び、周囲の人にも同意を求める渡辺くん。
みんなが頷き、やがて男性は駅員に連れて行かれた。
場は一時騒然として電車も停車した程。
感情が追いつかず呆然と立ち尽くしていると、
「行こ」と渡辺くんが私の手首を掴んで、車内へと駆け込んだ。
・
・
・
先程より少しだけ空いた車内。
それでもまだまだ満員状態で。
渡辺くんがなぜ同じ電車にいたのか。
どうして私を助けてくれたのか。
そしてなぜ今、渡辺くんに手を引かれているのか…
しかし渡辺くんのおかげでようやく訪れた安心感。
目から静かに涙が溢れた。
突然、渡辺くんはグイッと私の腕を引き、慣れたように電車のドア横をキープする。
私の後ろは扉で、人は誰もいない状態。
そして目の前には渡辺くん。
渡辺くんは扉に手を掛けて体重を支え、私との間に僅かな空間を作ってくれている。
ドキドキして見上げれば、パチっと目が合った。
渡「…大丈夫？」
小さい声で渡辺くんが私に尋ねる。
「うん…」
私も小さく返事をした。
その時電車が強めに揺れて、急に渡辺くんの胸が私の顔面を圧迫する。
「うう…」
渡「ごめん、ちょっと我慢して」
あまりにも密着した状態で、渡辺くんの香水の良い香りに包まれ、もう私の頭の中は真っ白になる。
渡「いて、いて、いててて…」
私が全く痛みを感じないのは、渡辺くんが私を庇うように立ってくれているから。
彼の胸から解放された僅かな瞬間に、
「ごめんね…ありがとう」と、再び彼を見上げてお礼を伝える。
しかしその時の互いの顔が予想外に近くて、ほとんどキスしそうなくらいの距離。
カァッと顔が赤くなるのを感じた私に、
渡「……ん」
と、渡辺くんは目を逸らしてクールに返すだけだった。
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R(プロフ) - なおさん» 何度も読んで頂き嬉しいです🥺こちらこそありがとうございます！ (8月17日 22時) (
レス) id: 7b806d3bae (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - 初めまして！このしょっぴーと主人公ちゃんが大好きですー💕実は何度も読み返していて😊今日もきゅんきゅんさせて頂きました♥️ありがとうございます！続きもまた読みます💙 (8月17日 16時) (レス) @page50 id: 61924ce533 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - みみみさん» 嬉しすぎます！ありがとうございます🥺✨ (2023年4月5日 20時) (レス) id: 7b806d3bae (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - 素敵すぎです！あー、しょっぴーに惚れてしまった♡ (2023年4月5日 13時) (レス) @page50 id: 10d256d720 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - ピカンチ★さん» この作品を見つけて下さりありがとうございます🥺💙ハニレモ良いですね☺️🍋お時間がある際に良かったら番外編も覗いて下さると嬉しいです🥺💙 (2022年6月25日 19時) (レス) id: 7b806d3bae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：R
| 作成日時：2022年5月22日 14時
