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どうして、ここに、
目の前には会いたくて会いたくて堪らなかった恋人の姿。正直、もう会えないと思っていた恋人が目の前にいる信じられない光景に、目頭は熱く、鼻の先はツンとして、視界はゆらゆらと揺れる。
きっと、みっともない顔をしていると思う。けれど、ここで何もしなかったら…そう思うと自然と恋人の名前を呼んでいた。自分でも驚くくらい弱々しく震えた声で。
そんな声で呼ぶから、ぎこちなく口角を上げていた恋人の顔が泣きそうに歪んでしまった。
「っ、」
そんな表情を見たら俺は立ってることすら苦しくなって、涙をボロボロ流しながらその場に蹲った。
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少し冷静になって考えてみれば、そこは店内で。
一旦落ち着こうと…そして、話をしようと、苦しそうに眉を下げた横尾さんに肩を支えられる。横尾さんは立ち尽くす太輔に ほらおいで、なんて声をかけていた。
横尾さんは俺たちのために貴重な休憩の時間を割いて、二階の自分の家を開けて、お茶まで用意してくれた。そして、今日はもう上がっちゃっていいよ、だなんて。…ごめんね、横尾さん。
「じゃあ、俺は下にいるから。何かあったら言って？」
「っ、ごめん、よこーさん」
頭を下げると横尾さんは俺たちを見て優しく笑い、出ていった。
そんな横尾さんを見送った後、しばらく続いた沈黙を破ったのは、太輔。
「…ごめん、ね」
「……おまえは、わるくないじゃん、謝んないでよ」
「ううん。あんな姿見せてずっと心配かけてたのも、こんな時期に会いに来ちゃったのも、ごめん。 …他にも謝んなきゃいけないこと…」
「くるしかった、よ」
「ほんとごめ…」
「ちがう…！お前がずっと、俺の事ばっか気にして強がって、俺の事ばっか気にしてるから、ほんとに太輔、いつか壊れちゃうんじゃないかって、…っ」
「ひろの悲しそうな顔見てる方が辛かった、から」
「ば…」
バカなの？謝るなって何回言ったら、
…違う。言いたいのはそんな事じゃない。そうじゃなくて…
「…あいたかった…もう、大丈夫なの？」
「ん…お待たせ。うん、本当は冬半ばくらいに治ってたんだけど、…こんなに待たせちゃって、ほんとごめん。けど、もう大丈夫だよ」
冬の時点では完治とは言えなかったんだって、心から笑ってほしかったから完治したという診断結果が出るまで粘っててこんなに遅くなってしまったんだと…本人からそう聞けて、本当に嬉しかったんだ、
気付いたら、喋れない程泣いていた。
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茉莉花(プロフ) - nicole155さん» 初めまして。実は中盤からちゃんと描けているか不安になっていた部分もあるので、素敵な感想を頂けてとても嬉しいです。ありがとうございます！ (2018年8月14日 1時) (
レス) id: 1e53697028 (このIDを非表示/違反報告)
nicole155(プロフ) - はじめまして。お話、とてもおもしろかったです。いい意味で、お話の展開がわからなさ過ぎて、とてもハラハラしました。蜃気楼がテーマだったと知って、あらためて蜃気楼リピートしてます。素敵なお話をありがとうございます。 (2018年8月8日 8時) (レス) id: 5edbe27f7b (このIDを非表示/違反報告)
茉莉花(プロフ) - なみこさん» はじめまして、コメントありがとうございます！こちらこそお読み頂きありがとうございます！え〜…嬉しいです＾＾笑 これからも頑張りますのでよろしくお願い致します！ (2018年8月6日 14時) (レス) id: 1e53697028 (このIDを非表示/違反報告)
茉莉花(プロフ) - 白雪さん» ファンだなんて…！泣 こちらこそありがとうございます！本当に嬉しいです…これからも頑張りますのでよろしくお願い致します！ (2018年8月6日 14時) (レス) id: 1e53697028 (このIDを非表示/違反報告)
なみこ(プロフ) - はじめまして！更新ありがとうございます！本当に個人的に大好きなお話なので更新されるたびに声が出てしまいます笑 これからも楽しみにしております！ (2018年7月23日 15時) (レス) id: 3a6b1b4e2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉莉花
| 作成日時：2018年7月5日 18時
