09.手離し厳禁 ページ29
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「……っ、」
「ひろ、あの…」
「…やっぱ俺じゃダメだよな……っ、！
俺…っ、おれっ素直じゃねぇもんなぁ……」
彼のお気に入りのニットに
大粒の涙が吸い込まれていく。
早く、弁解しなきゃ…
そう思って口を開いても
次々と聞こえてくるひろの声を聞こうと
口を結んでしまう。
「俺オシャレとかもそんな気にしねーしさっ…、
お前とは全然タイプ違うから…っ、
喜ぶこととかしてやれなかったもんなっ……」
「今までありがとな…っ、」
泣きながら口にする言葉は
どれも、ひろが不安に思っていたことと、
感謝の気持ち。
そんなとこも全部含めて大好きだし、
俺の方こそありがとうなんだよ…
口にするより先に抱きしめていた。
「ひろ、」
「やめろって…、もう俺らは…っ、」
「ひろ、ごめん…っ、嘘、なんだ」
「…そういうのいいって……気にすんな、」
「……今日、４月１日」
「は……？」
エイプリルフールだから…
そう言った数秒後、返ってきたのは
…むせび泣く、ひろの声。
「…ばぁーか……っ！」
「うん、ごめんね。どんな反応してくれるのか
気になって……けど、もうやらない」
「……夢と同じだった、」
「え？」
「昨日見た夢と同じ…。太輔が俺の事、
好きじゃなくなったって、好きな人出来たって…
だから、別れよって言われる夢…っ、」
夢とほとんど同じだったし、忘れてたから…
本当じゃなくてよかった…
そう泣くひろに本当に申し訳なくなって、
さらにぎゅっと抱きしめた。
離さないように。
「好き、だから……俺とずっと一緒にいて…、」
「…〜〜っ、もちろん、！」
４月１日の正午前、
かわいくて愛おしい告白をされた。
だからもう絶対に離さないし、
離せないと思った。
「そんなに泣いたら目腫れちゃうって…」
「うっせ、怖かったんだよ…っ」
「手も震えてるし…」
「誰のせいだと思って」
「ごめんなさい。冷やす物持ってきます」
とりあえず目が晴れないように
氷か冷水に浸したタオルで冷やそうと
ひろから離れた
…ら、まだ泣き止んでいないひろが
置いてくなよ…って
服を掴むから離れるに離れられなかった。
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4/1 − エイプリルフール
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茉莉花(プロフ) - しおぱまさん» ありがとうございます！読者様に楽しんでいただけるような作品を目指していくのでこれからもよろしくお願いします＾＾ (2017年2月15日 0時) (
レス) id: 1e53697028 (このIDを非表示/違反報告)
しおぱま(プロフ) - 今回は短編集ということで、茉莉花さんの書く様々な藤北が見られそうで嬉しいです、！更新大変だと思いますが頑張ってください！ (2017年2月13日 16時) (レス) id: 21c0d8b98c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉莉花
| 作成日時：2017年2月13日 0時
