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そう思うや否や、本令が教室中に鳴り響き全員の声がピタリと止んだ。
「仔犬ども!始めるぞ」
クルーウェル様が教鞭を片手に打ちつけながらそう言ったかと思えば、それをクルリと黒板に向かって一振りする。
すると細かな光の屑が教鞭の先から黒板の表面を撫でるように流れ、文字が浮き出てきた。そこには4種類の材料名・個数から始まり、実験手順や注意点が簡潔に書き記されている。
「今から必要な材料を各自で取ってきてもらう。戻ってきた仔犬からペアを組み、注意点をしっかりと理解した上で実験を始めろ!」
材料を各自で?
困惑しながら周りを見るが、皆戸惑う様子なく教室を出て行った。
てっきり既に用意されているのだとばかり思っていたので、材料を置いている場所があるのかと驚く。
皆に着いて行きながらレオナ様に聞いてみると、植物園というスペースが設けられているのだとか。
アカデミーではティータイムを嗜む為の庭園こそあれど、錬金術の為の材料を育てている場所など無かった。
感心しながらも早く違いに慣れなければと、溜まりきった疲労と共に息を吐き出した。
目の前の光景に、思わず惚けた声が出る。
植物園に到着し材料を得る為、まず亜熱帯ゾーンへと赴いたのだが、そこには教科書や図鑑でしか見た事の無い珍しい植物があちこちに生い茂っていた。
更に、それらがチグハグに並び絶妙なバランスの美しさを醸し出している。
中でも一際目を惹く"
まして満月の夜、丑三つ時でなければ触れた瞬間に枯れてしまう厄介者で、真昼間の今どう採取すれば良いのか分からず硬直してしまう。
レオナ様に聞こうにも彼は温帯ゾーンへ他の材料を取りに行っているので、折角手分けしてくれたにも関わらずあちらまで行かなくてはならない。
それでも時間を無駄にするよりマシだと立ち上がろうとすると、唐突にふわりと白衣を靡かせながら誰かが隣にしゃがみ込んだ。
「どうかしたのか?」
俺から見て右側の頬辺りに、緑色でクローバーのマークが描かれている眼鏡を掛けた人。彼は安心させるような優しい笑みを浮かべ、俺の顔を覗き込んでくる。
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ぽいんせちあ(プロフ) - すぅぅぅぅ…だぁぁぁいぃぃすぅぅきぃぃでぇぇぇぇす!!!応援してます!! (2022年7月14日 22時) (レス) @page28 id: 29021d68a0 (このIDを非表示/違反報告)
洸 - あっこれ楽しいやつだ…更新楽しみに待ってます… (2022年4月17日 9時) (レス) @page28 id: 2f1dccb094 (このIDを非表示/違反報告)
..... - とっても好きです!!更新頑張ってください!応援しています!!! (2022年1月17日 16時) (レス) id: 4b3179590f (このIDを非表示/違反報告)
滅夜(プロフ) - このお話最高です!更新頑張ってください! (2021年3月30日 12時) (レス) id: f73ab42924 (このIDを非表示/違反報告)
馬と鹿 - 読みやすく何処か引き込まれる文章に感心します…。謙虚な作者の姿勢に、また尊敬の意を表したい!! 応援しております!! (2020年10月31日 22時) (レス) id: 9266b0967c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:濁瀬 | 作成日時:2020年7月13日 0時