2話 ページ3
−鈴side−
『たでーまー。ん！いー匂いする！オムレツだろ！』
父｢けーり。正解、オムレツだ。手洗ってこい｣
『あーい』
とーちゃんも本屋のおじさん同様一人で喫茶店を営んでる。
もう20年近くになるけど5年前に1回改装したから内装は綺麗だ。
店の前にある一人用の椅子はオレの特等席。暇な時はいつも座ってる。
小学生の頃は店の前を通る人皆に声かけては誰彼構わず引きずり込んで怒られてた。
まぁ、そのおかげで(?)何年も通ってくれる常連さんが居るんだけどな。
『洗ったー』
父｢テーブルに置いてるから座れ｣
『とーちゃんは食わねーの？』
ガラッ
父｢一服してからな｣
『食い終わってからも吸うくせに。早死すんぞ。いただきまーす』
父｢今更だろ｣
ジッ、ボッ
『オレタバコの匂い好きじゃねぇんだよな。あと酒の匂いも』
父｢だからベランダ出てんだろ。俺の嗜みを全否定しやがって｣
『ムリなもんはムリ。けど店の匂いは落ち着くから好き。うん、いつも通り飯がうまい』
父｢そーかい。お前も早く作れるようになれよ｣
『練習中なんだよ』
父｢そういや死神くんは元気か？最近顔見ねぇけど｣
『死神、、、あぁ、半間か。元気だぜ。今日も学校来てなかったけど路地裏で喧嘩してたわ』
父｢手の甲の刺青には驚いたもんだ｣
『明らか不良だよな』
高校に上がって初めて顔を見た。
同い年に喧嘩の強い野郎が居るのは同級の奴らから聞いたことあったけど。
オレよりも身長が高い奴なんか居なかったから少しだけ見上げるの違和感がすごかった。
まさかの同じ高校、同じクラス、出席番号で前後の席。
夏目の"な"と半間の"は"。なんでオレの後ろに｢な･に･ぬ･ね･の･は｣から始まる苗字の奴一人も居ねぇの？？そんなことある？？
まぁ、ほぼ来てねぇんだけど。オレもサボるし。学校じゃ滅多に会わねぇ。
その代わりというか路地裏でよく会うんだよな。だいたい一方的な喧嘩してる。
ウチの近くの路地裏に居た時に偶然会って絡まれた。何でオレの事覚えてんだ。
そのまま喫茶店で軽食作ってやったら高頻度出来るようになったんだよな。
もはや常連だった。最近来てねーけど。
明日は学校サボって半間んとこ行こーかな。アイツと居れば何かと喧嘩になるし。
ストレスなんてねぇけど何かしら発散出来んだろ。
『とーちゃん明日サボるわ』
父｢おー、ケガすんなよ｣
『わぁってる』
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作者名：翡翠 | 作成日時：2021年8月6日 10時
