性別の壁なんてぶっ壊せ

最高な勘違い其の5 ページ21

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「男…が、好き？」


割れたグラスはお構い無しに安吾は震えていた


何食わぬ顔をして酒を飲んだ俺だが今、太宰に飛びかかりたいぐらい驚いている



「やっちゃった…」

「えっ、何を_____」

「太宰、何があったんだ」



物静かで落ち着いてそうなマスターは、この雰囲気に見兼ねてトレイに逃げるように入った

"先生"と呼ばれる猫ですらも、見当たらない



完全に3人だけの無法地帯となった




「キスしちゃった…」

「男にか？」


太宰は無言で頷く。安吾は頭を抱え乍、気分が悪そうに唸っていた



──キスしたのはAか？それとも中原か…

太宰がキスする男はその2人に絞られる



話を聞くうちに分かるだろう。頭の中で2人の特徴を思い浮かべた



「開き直っていいかい？」

「嗚呼」


そう言うと勢いよく、グラスを叩きつけて、「だって！」と叫び始めた




「酒が弱くて、酔っちゃって、そのまま私の前で寝ちゃうんだよ！？」


酒が弱い…確か中原もAも弱かったな。次だ


「そのくせ、男のくせに小柄だし、華奢だし、肌白いし！」


男のくせに小柄…中原か？鍛えているから体のラインは引き締まっているだろう。それを"華奢"と言い換えることも出来る



「もう嫌だよ。私男も喰えるとか思ったことないよ！でも可愛すぎるのが悪いんだ！」


何となく、考えただけでも中原という証拠の方が有利な気がする

──ということは中原か？



キスしたことを相談するのにAは今日、太宰に呼び出されたのかもしれない。皮肉なものだな



何かしら進展があればAは俺に電話してくる筈だ。それがないということは、つまり…──



「今まで君たちにもソウイウ目を向けたことがなかったのに…」

「向けられたら困ります」



A…あいつ、失恋したのか





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