性別の壁なんてぶっ壊せ

故意か過失か ページ18

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『太宰、幹部…』

以前同様、机に突っ伏しているA。言わずもがな潰れている



この子は酒に弱いのに割に合わない量を飲む。どっかの誰かさんと同じみたいだ



「風邪ひくよ？起きて」

私の外套を掛けて、肩を叩いても気持ちよさそうに唸るだけ


立場が天と地の差ぐらいあるのに、どうしてこうも無防備なのだろうか



『んー…』


あ、起きた？


ちらりと顔を覗くと、また気持ち良さそうに目を擦ってこう言った



『太宰幹部…大好き、です_____』


寝言か。分かっているが、そんな頬を緩めて言わないで欲しい


男に"大好き"と言われても恋愛感情は抱かないというのに。私はそっちじゃない

──この子がそっちなのかは知らないが



『太宰幹部…』

そんな彼の顔を見ていると、矢張り昨日会った女性と重なる部分がある。髪型さえ変えれば、瓜二つな気だと思う

そっくりさん、という奴なのだろうか



──にしても昨日の女性は本当に綺麗だった。この私が目を奪われたくらいには



『う…』


あぁ、本当に綺麗





ほぼ無意識に、眠る彼と唇を重ねていた


「…え」


コンマ数秒後、まだ感触が残っている唇を抑え乍、間抜け面をするのは不回避だと思う





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