性別の壁なんてぶっ壊せ

お誘い？ ページ15

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『織田作、この前はありがとう』


何時も通りウイッグを付けて、仕事の格好のまま、マフィアの裏手の掃除をする

昨夜は興奮の余り眠れず、自然の音楽が聞こえる頃には絶賛寝不足の私が完成していた


「嗚呼。其れより、ちゃんと買い物してきたか？」

『……それがさ？お母さん、聞いてよ』


相変わらずの恋バナを繰り広げる。"お母さん"呼ばわりには何も突っ込まない織田作

これからそう呼んでやろうか、なんて




『──って事があって、太宰幹部に助けられた』

「そうか」


相変わらず織田作の定型文は「そうか」だが、その一言で織田作の感情をなんとなく見分けれるようになった


織田作の「そうか」は残念がる時と、嬉しい時と2つに分けて使われる

今のは間違いなく後者である





「あれ、太宰じゃないか？」

『えっ！？何処！？』


光の速さで織田作の指指す方に頭を動かし、髪の毛を摘んで整えた


──そこには確かに昨日ぶりの太宰幹部。私たちと目が合い、駆け寄ってきた



「織田作、A。今日は掃除？」

「嗚呼」

『太宰幹部…お疲れ様です』

「そんな改まった口調にならなくていいよ」



何時も以上に意識してしまう私がいる、辛い。けど幸せ



のほほんとした顔で「ありがとうございます」と笑うと、太宰幹部はハッとした顔になった



「ねぇ、Aに聞きたいことがあるのだけど…」

『はい？』


きょとんと首を傾げると、太宰幹部の肩を叩く黒服の人が背後にいた


「あぁ、今行く」

無愛想に返事をした後、さらさらと紙に何かを書き留め、私に渡した



「今夜、10時にここに来て。聞きたいことがあるんだ」

『え、あっ…ちょ！』

「じゃあ、またね」


忙しく去っていった太宰幹部にポカンとすると、織田作が渡された紙を覗き込む



「A、之barの名前だ」

『えっ？と言うことは…』


ディナーのお誘い…？



『織田作、私脈アリかも』

「頑張れよ」





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