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最悪な雰囲気のまま体力テストが始まった。
私の学校は男女分かれることなく体力テストを行うので50m走なんて地獄中の地獄だ。
好きな人同士で組めー、なんて適当な先生の指示。私はもう組む人は決めていた。
『 ねえ！一緒に組もう 』
私が声をかけたのは麗亜でも柴田でもなく、としみつくんだ。
周りにいた全員がざわめきだす。
と「 ん 」
了承してもらえるとは思ってなかったのにまさかの快諾。
旗の振り下ろされる音で一斉に走り出す。私のどんどん先を行くとしみつくんを追いかけるように走ると、いつもより早く走れた気がした。
走り終わるとゴールで待っていたとしみつくんが私の肩を叩いた。
と「 おつかれ 」
『 としみつくんもお疲れ 』
柴田達が走り終わるのを待つ間、としみつくんの隣に座った。
『 さっきはごめん 』
『 それくらいの人とか言って傷つけたよね 』
髪が上手く顔を隠してて、としみつくんが何を思ってるのかよく分からない。
また言われちゃうかなって不安が募る。どこかピリピリしたこの空気は胸が苦しくなって沈黙が辛い。
「 俺も…、ごめん 」
「 ……前のクラスの女子にてつやが騙されて泣いてるの見てから、女子が苦手で態々遠ざけようとしてた。」
としみつくんも友達のために怒れる人だった。胸の苦しさが少し取れたような気がした。
『 そう見えるような態度とった私も悪いよ 』
「 いや、… ってこの不毛な謝りあいやめね？笑 」
私は至って真剣だったがとしみつくんはそう言ってこの会話を止めた。笑ったところ初めて見たかも。
『 としみつくん、笑ってた方がいいね 』
「 …ん。」
「 としみつでいいから 」
そんなこと言ってくれるとは思ってなかったからちょっと嬉しい。
『 分かった、としみつ 』
『 私も呼び捨てでいいよ 』
「 ……A 」
『 …、いやちょっと照れないでよ笑 』
少し照れながら言うから何故かこっちまで照れる。
「 そっちこそ照れんでよ笑 」
「 絶対仕返ししてやる笑 」
話しやすくてさっきまでピリピリしてた空気が嘘みたいだ。
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作者名：*ふらん* | 作成日時：2021年3月29日 2時
