【ツキウタ。】夕月夜の長月夜 (ページ20)

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第3章変わる関係ページ20

｢そんなにかしこまらなくても良いんだよ？今夜の主役は君なんだから｣

隼さんといて気が休まるはずがない。
この数時間で分かったことが１つ、【隼さんといるとロクなことがない】ということ。

｢というかどうして私が主役何ですか？急に呼ばれたのに…｣

｢毎年ハロウィンパーティーは開催しているんだけど今年は特別なのさ。頑張って欲しくてね｣

｢何をですか…隼さんこそもっと頑張りましょう？｣

｢ふふっ…僕は十分頑張ったよ。今朝は一人で起きれたし帰るときは自動ドアに引っかからなかった｣

確かに帰りは普通に通れた…ってそこ頑張るところ？
ますます隼さんのことがよくわからなくなってきた。

二人残されたこの空間に沈黙は重過ぎる。
何か話題を、と思って口を開いたが何も出てこなかった。
すると隼さんが急に立ち上がり、隣に座って来た。

｢初めて出会った時、僕は言ったよね？君がはやく王子様に会えることを楽しみにしているよ、って｣

｢確かに言いました。でもどういう意味なんです？｣

｢君には想い人がいるだろう？ずばりそれは夜だ｣

はっきりと断言されて恥ずかしくなる。
確かにそうだけれども…

｢でもね、密かに君のことを狙っている魔王様だっているのさ。ここにね｣

そう言って隼さんは耳元に口を寄せて低い声で囁いた。

｢君も伝える努力をしないと僕が簡単に奪っちゃうよ？僕を本気にさせたんだからね｣

口の端を楽しげにあげて笑う隼さんは魔王のようだった。