【HQ】Bad∞End∞Night

12 国見英 ページ13

京谷･金田一･国見


｢おい｣

｢な、何すか…？｣

｢らっきょ、国見担げ｣

｢俺らっきょじゃないんすけど…｣

｢名前知らねぇよ｣


…京谷さん本当めちゃくちゃ。

ずっと気付いてたんだろう。

さっきから俺は頭痛はするし眩暈はするしで足元がおぼつかない。


｢国見、無理すんなって｣

｢いいって…お前じゃ無理だろ｣

｢遠慮すんなって｣


…金田一、お前は母さんか。

そんなに人の心配してられないだろ、この状況。


ｶﾞﾁｬｯ


｢京谷先輩？｣


目の前の部屋が急に開いた。

全員の歩みが止まり、先頭にいた京谷先輩は何か考えているようだった。


｢お前ら逃げろ｣

｢え？｣

｢早く行けって！！｣


京谷先輩の怒号にビビった俺と金田一。

一瞬見えたのはキラリと光った鋭利な刃物。

京谷先輩、俺頭痛いんすけど…めっちゃ響いた。


｢国見、こっち！｣

｢あ、ああ｣


本調子じゃない俺を見てか結構近い部屋に入った。

京谷先輩は大丈夫なのだろうか。


｢金田一、京谷先輩って何か持ってたっけ…｣

｢いや、懐中電灯くらいしか…｣


そんな無謀な…

ｶﾞﾀﾝﾊﾞﾝｯ

いきなりドアに衝撃が走った。


｢どうする…おい、金田一…｣

｢しっ…｣


ドア一枚隔てた向こう側に何かがいる。

もしかしたら京谷先輩かもしれないけれどむやみに開けようとはしない。


｢国見…らっきょ…ここか｣

｢京谷先輩…！？｣


声に反応して金田一がドアを開けた。

その時、わずかに部屋の奥まで見えた。

そして俺は絶句した。


｢…早くこの部屋出ましょう！｣

｢は…？｣

｢早く！ｯあ…｣


部屋の奥には棺の山。

そしてその棺から出てくる血にまみれた死体。

それに気付いた京谷先輩は金田一の腕を引いた。


｢国見！！｣

｢ごめん、俺はそっちに行けそうにない｣

｢おい！国見！！や、やめろ！うわああぁぁああ！｣


金田一の声とともに足の感覚がなくなる。

さっきから生暖かく広がる液体は俺の足から流れ出る血のようだ。

叫びたいのはこっちだっつの…らっきょめ。


最後まで謝れなかったな、影山。

最後までお礼言ったことなかったな、金田一。


｢ごめんな…ありがとう｣


伝えたかった言葉を残して俺意識を手放した。

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