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「はぁ〜〜っ……ほんと俺、泥ついた服のまんま抱き締めたわ。ごめん」
『いっ、いえ！私も畑の中入ってましたから！』
どれくらい彼の腕の中にいたのだろう。
体感速度がバグった所為で一瞬だったような気もするし、1時間くらい経ったような気もする。
離れた彼は落ち着かなさそうに自身の服を払う仕草を見せたが今更だな、と笑ってしまいそうになった。
実際の所に泥だらけだろうと何だろうと、ひとらんらん様と一緒ならなんだっていいんだから。
「あ、そうだ。お願いって結局…？」
『私1人ではどうにも心許ないので隣に居て頂けると幸いです』
「それだけでいいの？」
『きちんと自分の言葉でお伝えするのが、せめてもの筋かと』
男らしいなと苦笑いした彼だったが、私の言い分には納得してくれたようだった。
そろそろ戻らなくては朝食の時間に遅刻してしまう。
晴れて謹慎期間が終了し自由の身になったのに、食堂に顔を出さないとあっては心配をかけてしまう。
『そろそろ、戻りましょうか』
「そうだな…。でも、その前に」
彼を誘導するように袖を少し引っ張ると、ひとらんらん様は袖を持った私の手を握って引き留める。
そのまま引かれた腕を軸に振り返れば、彼は目を細めてバツがトレードマークのマスクを顎に下ろした。
「A、いい？」
『はい、ひとらんらん様……』
その言葉の意味が分からないほど私も初心じゃない。
優しく腕を引かれるがままにもう一度彼の胸の中に飛び飲むと、両頬に大きな手が添えられる。
ゆっくりと近づいてくる彼の顔に反射的にぎゅっと目を瞑る。
彼が笑ったのかフッと微かに唇に小さく息が当たる。
『んっ……ふ……』
「……は、好きだよA」
触れるだけのキスが何度も繰り返される。
少しだけカサついた唇がなんだか彼らしい気がして、唇が触れ合う度に満たされた気持ちになる。
不意に彼の顔が見たくなって半分くらい目を開くと、ひとらんらん様はゾッとするくらい色っぽく微笑んで最後に軽いリップ音を鳴らした。
『(あ、あんな顔もするんだ……)』
早朝の畑とは似つかわしくない夜の香りに恥ずかしくなって頭まで熱が上るのがわかる。
「折角だから、このまま食堂行こうか」
『そう、ですね』
「ついでに見せつけてやろう」
あぁ、彼も正しく内ゲバ集団の1人のようだ。
意気揚々と歩き始めた彼の横に並んで城の中へと向かう、これからはずっと隣にいれるんだと思えば足取りも軽くなった。
√ ht_fin
ラッキー食べ物
すし
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宙(プロフ) - はぁ〜。面白かった！！(満足)欲を言えばゾムさん落ちが見たかった笑 (2020年9月7日 10時) (
レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - すずらんさん» こんにちは、コメントありがとうございます！そう言って頂けるのが一番の喜びですので、どうぞこれからも宜しくお願い致します。 (2020年2月12日 12時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - コメント失礼致します。とても楽しんで読ませて頂いております、最高ですありがとうございます… これからも楽しみにしております、応援させて下さい！ (2020年2月10日 15時) (レス) id: 14859b81d2 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - スリジャワルダナプラコッテプリンさん» コメントありがとうございます！微力どころか皆様の応援が最大の力源となっております。ゆるりと進んでいきますのでお時間のある時に是非お付き合い頂けると幸いです。 (2020年2月9日 8時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 澪華さん» こんにちは、コメントありがとうございます。1人目から随分更新が空いてしまったのですがそう言って頂けて幸いです。これからもゆったり進みますので何卒よろしくお願い致します (2020年2月9日 8時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あん肝ポン酢丸 | 作成日時：2020年1月25日 15時
