【アイナナ】短編ストーリー (ページ6)

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#六弥ナギ　『優しい嘘』ページ6

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私がこの世界に入ったのは10年前、まだ私が8歳だったころだ。

運よく才能にも見舞われここまでやってきたが、最近どこかつまらない。

そんなことを考えていた私の前に現れたのは北欧系美人だった。

IDOLISH7の六弥ナギ、彼はそう名乗った。

「ワタシあなたのこと知っていますよ」

最初の会話はそんなことだった。

それからは雑誌の撮影の合間、暇さえあれば話しかけてきた。

「A！さっきのとてもよかったですね！」

「A！ここな見ましたか？」

人懐こい性格だと思う。

初めてこんな人に出会った。

だから私は勘違いをしてしまったのだ。

「あのさナギ、ちょっといい？」

「デートのお誘いですか？」

ナギはいつものように本気かどうかわからない調子で言う。

廊下の隅、自動販売機の前で私はナギに思いを告げた。

するとナギは初めて、私に眉を下げて笑いかけた。

そんなナギの表情に、私はつい強がりを言ってしまった。

「…なんてね！ジョーダンだよ、忘れて！」

そんな私の強がりを読み取ったナギはそっと私の手を取る。

そしておとぎ話の王子様がするみたいに手の甲にキスをした。

「ありがとう、A…いつかあなたを迎えに来ても？」

「…私の気が変わってないと良いけど」

私がいたずらにそう言うと、ナギはふっとほほ笑んだ。