【アイナナ】短編ストーリー (ページ1)

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#和泉一織　『放課後』ページ1

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その日、私は誰もいない静かな教室で黙々と課題を進めていた。

もちろん一人なわけがなく、パーフェクト高校生こと和泉一織が目の前で本を読みながら私を見張っている。

早く終わらせて帰りたい。でもちっともわからないから終わらない。

私は解ける気配のない問題とのにらめっこに飽きて一織の顔を見る。

素晴らしく整った顔だな、なんて思っているとその顔は私の方を向く。

「手が止まってますよ。兄さんに夕食任せてしまってるんですから」

「…わかってるよ」

いつも通りのお小言が私に投げつけられる。

パーフェクト高校生なのに乙女心もわからないのか、なんて内心文句を言いながら課題に視線を戻す。

一応、付き合ってるはずなんだけどなぁ

私はそんなことを考えて少し悲しくなりながらペンを持つ。

「どこが分からないんですか」

「えっと、ここ…」

急に声をかけられたことよりその距離に驚きながら返事をすると、一織は顔を赤らめて言った。

「お、終わったら、ご褒美…あげますから……」

耳まで赤くするくらいなら言わなければいいのに、なんて思いながらも私は頷く。

照れて私の顔を見ようとしない一織はさっきまで読んでいた本をいつのまにか片付けていた。

「…一織、好きだよ！」

「なっ…そんなの、私もです…！」

動揺して口を滑らせたらしい一織。

恥ずかしさが上限に達したのか教室の中をぐるぐると歩き回り、戻ってくるとやりますよとだけ言った。

私はご褒美なんだろうなぁ、なんて言いながら照れギレする一織と一緒に課題にとりかかった。