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3話 ページ3

時刻は9:53分。

 この横断歩道を渡れば、すぐ中学校に着く。
 信号が変わるまでの数秒、向こう側の歩道を見る。ちらほらと同学年と思われる女の子達が、笑いながら歩いていた。
……今どきの女の子達だなぁとつい、ボーッと眺めてしまってきると、隣にいたおばさんが渡り始めているのに気付き、急いで足を出す。
 いけない、こんな車通りの多いところでボーッとしてたら危ない。気を付けなければ。

 中学校門前に着く。晴はまだ来ていない。10時5分前なのに。
キョロキョロと辺りを見回す。先程の女の子達や、その他にも見覚えのある子達が沢山いた。

 クラス発表は10時に張り出される。
皆クラス発表は自分の学校生活の生死に関わるので、10時ピッタリに見る人が多いのだろう。だって私もその一人だから。

 そんな考え事をしていると、後ろから「おはよ」と声が聞こえた。
なかなかに低いけど、若干掠れて声出しにくそうだなぁと思わせるような声の主。
それは勿論、私の待ち人だ。


「おはー晴」


 振り返ると、ニヤッとした笑顔を浮かべている晴の姿があった。
いつも通りの黒いパーカーにジーンズを着用していて、小学校の頃から全く変わっていない。

 久しぶりに会ったせいだろうか。
背が高い人ってジーンズ似合うよなぁ、と思ってしまった。カッコいい。
 ……カッコいい?無意識にカッコいいと思った自分に、恥ずかしくなった。


「お前また黒パーカー?」

「実久留だって毎日パーカーじゃん」

「私は毎回同じ色のパーカーじゃないから、セーフなんですよ??」

「なんだそれ」


 そう言い合いをしながら、校門を通り抜ける。
沢山の生徒が集まっていたせいか、既にクラス発表の紙が張られていた。
 「やった一緒だね!」「うわ、離れた……」などの声が聞こえてくる。

 忘れていた恐怖が蘇ってきた。
晴と一緒じゃなかったらどうしよう。

__もし一緒じゃなかったら。

最悪な未来を予想してしまい、一気に血の気がひく。


「クラス、一緒だといいね」

「だな」


 たった短い一言だったけれど、私はその言葉さえも嬉しく感じていた。

 クラス発表の紙の近くに行くと、人が居すぎて熱気が凄いのが分かる。
「ちゃんと後ろ着いて来いよー」と言われ「わかってますよー」と返事をした。

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作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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フルーツちょこ(プロフ) - コノハ【心葉】さん» ありがとうございます。本日全話修正をして誤字脱字や、文章の訂正をしましたので、もう一度読んでくださると嬉しいです。 (2018年11月30日 19時) (レス) id: fddb009284 (このIDを非表示/違反報告)
コノハ【心葉】 - 楽しみです! (2018年11月30日 18時) (レス) id: 17d56b6dae (このIDを非表示/違反報告)
フルーツちょこ(プロフ) - 水瀬さん» 楽しみと言っていただけてありがとうございます。私も更新頑張りますので、これからの物語もどうぞお楽しみに下さい。 (2018年10月23日 15時) (レス) id: fddb009284 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬(プロフ) - お話とても面白いです!続きもすごく楽しみになりました!更新頑張ってくださいね! (2018年10月20日 16時) (レス) id: db4b643399 (このIDを非表示/違反報告)
フルーツちょこ(プロフ) - 抹茶モナカさん» 応援のメッセージありがとうございます。最近学業が忙しいため、更新をあまり出来ていませんが、近いうちにもう一話更新したいと思います。コメントありがとうございました。 (2018年10月12日 15時) (レス) id: fddb009284 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みくるみちょこ | 作成日時:2018年6月3日 20時

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