14話 ページ14
人の熱気によって暑かった玄関とは違い、外はとても涼しかった。
スゥっと空気を吸い込むと、微かに緑の匂いがする。
「実久留ちゃん、こんにちは」
「あ、こんにちは!」
私に声をかけてくれたのは、黄色のカーディガンを羽織った、晴のお母さん。
にっこり笑う姿は晴とそっくりだ。
ちょっとした世間話をしていると、段々と勉強の話へと移り変わっていた。
「中学生だから、勉強難しくなるね。晴頭悪いから教えてあげてね」
「むしろ、私が教えてもらう側になると思います」
冗談っぽくそう言うと、晴のお母さんは、えぇ?とノってきてくれた。
ここの家族は本当に愉快だ。
だから、晴もあんなに面白いことが言えるのかな。
「母さん、また実久留と話してんの?」
後ろから声がしてサッと振り向くと、呆れた声を出しているが、笑顔を浮かべた晴がいた。
「あらいいじゃない、ねぇ?」
「ねー!」
その様子を見て、はぁ……と溜息を吐かれる。
そうやって、笑ってるのはバレバレなんですけどね。
「あ、せっかくだから写真撮りましょ。二人とも並んで、並んで」
「「えっ」」
思わず口から出た小さな言葉が、晴と声が重なる。
二人……だけの写真。
卒業式の日、幼馴染と私と晴では撮ったが、二人だけの写真は無かった。
恥ずかしいけれど、撮りたいという欲もあった。
けど。
「いや、いいですよー。写真なら卒業式に撮りましたし」
晴には好きな人がいるんだ。
私が邪魔していいわけない。
好きな人の恋は応援したいもの。
晴が幸せなら構わない。
幸せになってほしい。
「いや、記念に撮っておこ」
「え″」
晴の言葉に思わず濁った声が出る。
私と撮っても意味ないのに。
なんでそんなこと言うの?
「じゃあ撮るよー。笑って笑って〜!」
ちょっとだけ
「実久留、もうちょいこっち来て」
ほんのちょっとだけだけど
「ちょ、晴!?」
期待してもいいの?
＿＿＿パシャッ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 92人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
フルーツちょこ(プロフ) - コノハ【心葉】さん» ありがとうございます。本日全話修正をして誤字脱字や、文章の訂正をしましたので、もう一度読んでくださると嬉しいです。 (2018年11月30日 19時) (
レス) id: fddb009284 (このIDを非表示/違反報告)
コノハ【心葉】 - 楽しみです！ (2018年11月30日 18時) (レス) id: 17d56b6dae (このIDを非表示/違反報告)
フルーツちょこ(プロフ) - 水瀬さん» 楽しみと言っていただけてありがとうございます。私も更新頑張りますので、これからの物語もどうぞお楽しみに下さい。 (2018年10月23日 15時) (レス) id: fddb009284 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬(プロフ) - お話とても面白いです！続きもすごく楽しみになりました！更新頑張ってくださいね！ (2018年10月20日 16時) (レス) id: db4b643399 (このIDを非表示/違反報告)
フルーツちょこ(プロフ) - 抹茶モナカさん» 応援のメッセージありがとうございます。最近学業が忙しいため、更新をあまり出来ていませんが、近いうちにもう一話更新したいと思います。コメントありがとうございました。 (2018年10月12日 15時) (レス) id: fddb009284 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みくるみちょこ | 作成日時：2018年6月3日 20時
