とある六つ子を養うことになりました (ページ17)

今日:10 hit、昨日:9 hit、合計:1,681 hit

▽ ページ17

▽

「実はさっき迷子っぽい子を見つけて、おそ松くんが声をかけたらどっかに行っちゃったんです」

「おそ松くんってこの子？やだ可愛い。
俺はこの子の雇い主だよ〜。

まだちっちゃいわねぇ、何歳？自分で言える？」

店長さんがおそ松くんのほっぺをつんつんとする。
若いからハリがあるわねぇ…じゃない！そんなことしてる場合じゃない！

おそ松くんもビックリして泣き止んじゃったし！

…泣き止んだから別にいいのか？
そ、そんなことより。

「迷子の子、きっとまだ二三歳ですよ。変な人に連れ去られたら大変…早く見つけないと…」

「迷子の子ってどんな子？」

おそ松くんに似てるって行ったら怪しまれるよねぇ。
うーん。

「えっと…眉毛が濃くって、青い服を着てます！」

そう言うと店長さんは「あー！」と声を上げた。
どこか思い当たる節があるようだ。

「きっと近くの施設の子ね」

施設？
「また抜け出しちゃったのね」

店長さんがスマホを取りだした。
どこかに電話をかけようとしているようだ。

「抜け出す？どういうことですか？」

施設ってのは子どもを育てる施設のことだよね？

施設から抜け出すって、何か嫌なことでもあったのかな。
またってことは今までも何回も来てるって事？

「なぁーんか最近来てるってここの人達が言ってたの。
俺も会ったことあるくらいだし、相当抜け出してるのね。

ここの人たちも認知してるからきっと大丈夫よ！

俺は施設の人に電話するね」

何回か来てるってことは施設が嫌いってことなのかな。

あの私の知ってる松野カラ松だったら、働かなくていい環境から逃げ出そうとするなんてないと思うけど。

絶対なにか訳ありだよね。

私がそう考えているとおそ松くんがよじよじとしだした。

「ん？どうしたのおそ松くん？」

下ろしてほしそうなので下ろすと、
おそ松くんは店長さんに駆け寄りズボンをギュッと掴んだ。

「あら？大丈夫よおそ松くん。
さっき会った小さい子は俺がちゃんとお家に返すから」

「まって！！」

おそ松くんが、必死そうな表情で言った。

「まだ、でんわしないで」

「そーはいってもねぇ」

おそ松くんがチラッとこっちを見た。

これは、もしや、助けを求められている？
まだ泣き止んでまもないおそ松くんの瞳がふるふると震えていた。