Sanctuary <Jesse×Hokuto> (ページ7)

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「せんせ、」

「…」

「おーい。」

「…」

先に言ってくと、今の俺は無視されてるわけじゃない。先生は文字に夢中になっていないし、なんならここは書斎ですらない。

夢を見ている先生を見つめてるだけ。

春になった。

庭へ続く窓を開けると、春風にカーテンが揺れる。

視線の先。広い庭の椅子に白い蝶々が降り立った。

先生がよく本を読んでる場所。

そんな春の景色と匂いに酷く感動したって言うのに、先生は起きてくれない。
出来ることならくっついていたい俺は、そっとベッドに戻ると、冒頭の台詞って訳だ。

先生は眠ると幼い。

目の前には、昨日の出来事が嘘のように純情な天使。

そんな天使の鎖骨についた赤色に、思わず顔が熱くなった。

そういえば今日、お昼に人が来るって言ってたな。

寝顔を見つめること数十分。

名残惜しさを感じながらも天使の頬をつついてやると、ピクっと眉を動かした。

「先生、もう朝だよ。」
「…、んぅ、」
「おはよう。」
「……、」

うっすら開かれた瞼は重そうで。

このまま寝かせてあげようかとも思ったけど、
困るのは俺じゃないから、また声を掛けた。

「まだ眠い？」
「んー…平気。」
「そっか、」
「…さむい」

そう言うと先生は俺に抱きつく。

確かに俺は暖かいけど、寝ぼけているのか楽しそうな先生は、力いっぱい俺の体にくっついた。

布を隔たずに触れる先生は、やっぱり至高だ。

「せんせ、くるしい。」
「いいの。」
「ふふっ、良くないよ。」

触れ合う肌は変わらないのにまるで小さい子を相手している気分になって、腕を回して頭を撫でた。

幸せそうに笑う貴方は、可愛いくせに、綺麗だった。