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言葉と同時に唇に熱が移される。
抗う必要もないから
その温度と感触を受け入れると、
また不思議な感覚に落とされた。
…考えても無駄だ。この人がこの人である限り。
「っん、…ジェシー、」
「、せんせ、好きだよ。」
恐らく俺は、君の手のひらの上で転がされているんだろう。俺が名前を呼んだだけで幸せそうに微笑むくせに、俺の名前は言ってこない。
分かってる。
ジェシーは俺の名前を呼ぶ時なんて、俺には決まられないことくらい。
この人は賢いから。
簡単には俺の好きなように転んではくれない。
「…課題、途中なんでしょ。」
「もうその気なの、分かってるくせに。」
「しーらない。」
「えー じゃあ俺また課題やるの？」
「どうぞ頑張って。」
俺の思っていた何倍も子供で大人な君は、気まぐれで、それでいて誠実。
「…北斗。」
「っ、」
ジェシーは俺をそっと倒し、近づいてくる。
簡単には聞けないその言葉は
沢山の愛に満ちていて。
それを聞いてしまった俺はもう、
どうすることも敵わない。
君の体重をそっと受け入れ、その体温に包まれた。
俺の生きるこの世界は、これからも変わらないはずだった。
ペン先から出るインクが線となり、文字になる。
文字が集まって重なって、文になる。
それに必死になることが、俺と外の世界を繋ぐたったの一つだったんだ。
「ん、っぁあ、！」
「せんせ、」
「じぇし、っんぅ」
でも、いつからか俺は…。
ううん。君と出会ってから俺は、
書かなくても。考えなくても。
俺が俺でいることが出来る。
end
(…こんな感じで進んでいきます。)
(何も進んではいない。)
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作者名：ひじり
| 作成日時：2021年4月8日 14時
