1.プロローグ ページ1
「は〜い、それじゃあ皆またね、お疲れ様〜」
>お疲れ様〜
>またね〜!
パソコンへと向かってそう話しかけた後、「配信終了」と表示されたボタンへとカーソルを合わせ、カチリと左クリックをして押す。
配信が切れたことを確認した後、カメラを切ってパソコンの電源を落とし、付けていたヘッドホンを机のキーボードの横に置いた。
「…ふぅ」
一気に身体から力が抜け、身体を支えるべく椅子にもたれかかる。いつまで経っても緊張はするものだな、と自分の未熟さを感じつつ、ココアでも飲もうかとキッチンへと向かう。
この一連の流れを見て、察した方も居るかもしれない。
そう、私は配信者として活動している。
ただの配信者ではなく、「にじさんじ」所属のVTuberとして。
YouTubeを見漁っていた時、とある先輩の配信を偶然見つけた。
その当時はVTuberは聞いた事があったくらいで、特に見ていた訳でもなかったから、最初は「偶にはVTuberもいいか」なんて軽い気持ちでタップした。
その瞬間、画面いっぱいに広がる配信画面。そこでは、その先輩が視聴者と楽しそうに話して、時々ツッコミを入れたり、入れられたりしていて。
それが、出会い。
その様子を見て、とても驚いたのを覚えている。
それと同時に、「こんな凄い人と一緒に仕事がしたい」という思いが出てきて。
気づいたらにじさんじについて調べてて、オーディションに応募をしていた。
そして、今。
「今考えたら行動力凄いな私…」
今に至るまでを思い返して、我ながらとんでもない奴だ、と入れ終えたココアを飲みながらリビングでボーッとテレビを眺めていた所に一通の通知。
スマホを取り出すと、画面には「【招待状】A様宛」と表示されていた。
そんな丁寧に招待されるようなものなんて無いのだが…と不思議に思いつつ、詳細を見ようとタップした瞬間─
「わ゙っ!?」
─身体が光に包まれ、某ピンク色のなんでも吸い込む化け物のワープスターの移動音のような耳をつんざく高い音がして、私は意識を失った。
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作者名:ぴーすす | 作成日時:2022年1月1日 23時