F 12 ページ12
「北山の家、行きたい」
気付いたら、そう言っていた。
「え？！」
驚いてる北山を見て、自分の発言を訂正する。
「ちがっ…
いや、違わないけどっ
さっきの、襲ってほしいとかじゃないよ？！
ただ、まだ離れたくないし…」
さっきの北山の発言を受けての行きたいなら
俺って恥ずかしいこと言ってんじゃん。
違うのに。
一緒に居たいなって思っただけなのに。
恥ずかしくて俯くと
「うち、藤ヶ谷が喜ぶようなもん、ないよ？
バスソルトみたいなのもないし
フワフワのタオルみたいなのもないし」
おいおい、北山。
俺のイメージ、どうなってるの？
「そんなの、いらない」
北山が居ればいい。
「…じゃ、おいで？」
優しい笑顔で、テーブルの上に置いている俺の手の甲に手を乗せる。
「俺も、まだ一緒にいたい」
ふわりと笑い、恥ずかしそうな俺が北山の瞳に映った。
「…今日はなんもないけど
今度までに藤ヶ谷の、用意しとくわ」
今日だけじゃなく、まだまだ続くって…
付き合うんだって、
実感出来ること言ってくれる北山。
「…うん」
ヤバい。
かっこよすぎて、北山を直視出来ない。
「じゃ、帰ろう？」
重ねていた手を握られる。
「もう、離さない」
俺のすきな笑顔でまっすぐ言ってくれる北山の手を
ぎゅっと握り返した。
俺だって、離さない。
ううん、離れてあげない。
北山、大好きだよ。
end
.
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作者名：咲良
| 作成日時：2017年8月11日 1時
