そこに、あなたがいてくれるから 《後編》

K 43 ページ7

全員での楽屋。


まだ収録までに時間があるから、
各々好きなことをしてる。


俺は台本を見直してて…


ちらっと藤ヶ谷を見ると、
玉と楽しそうに雑誌を開いて話してる。


あの2人が覗いてるってことは、
ファッション誌だろう。


オシャレだよな、本当…。


藤ヶ谷が玉に楽しそうに言うと
玉から何か言われて、慌ててる。


2人の視線が同時に俺に向かい…


「ミツ、来て来てー！」

と玉に手招きされた。


「なんだよ」


傍に行くと


「これ、好き？」


開いてた頁を指され、
見ると普段の俺はしない服装のモデル。


「カッコいいじゃん。

どした？買うの？」


2人のイメージとは違うけど、
服装的にはアリだ。


「ううん、俺じゃなくて。

ガヤがね、ミツに似合うって」


「俺？」


まさかの俺？


藤ヶ谷を見ると、なんだか恥ずかしそうに


「いや…北山って、こういう格好も似合うと思う。
って、玉に話したら急に北山を呼ぶんだから…」


藤ヶ谷が俺に似合うと思ってくれた服だったんだ。



「そだ！

今日ガヤ行くんでしょ、このショップ。

ミツと行ってきたら？」


「え？！」


「だって、そしたら本物あるし
試着してみたら良いじゃん。

ミツ、この後は？」


玉がドンドン話を進めていく。


「あー…なんもないけど」


藤ヶ谷と飯に行くかなと思ってたくらいで…


でも、飯に行くのとショップ行くのは違うぞ？


…デートみたいじゃね？


「じゃ、決まり！

行っといでよ」


「…北山、いいの？」


「俺はいいけど…」


「はいはい、決まりー！」


玉に無理矢理決められたけど…

俺としては嬉しくてしかたない。




「本当、世話がやけるんだから」


なんて玉が呟いてたことなんて、
この時は知らないでいた。





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